アップルの独自性とモバイル業界の現状--元「iPhone」国際マーケティング責任者が語る - (page 4)

文:Marguerite Reardon(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年07月14日 07時30分

--iPhoneはこれまでに最も待ち望まれたコンシューマー向け電子デバイスの1つでした。あなたはこれを市場に売り出すチームの一員だったわけですが、どうやってこれを実現したのでしょうか。どのようにして、製品が販売される数カ月も前からこれほど大きな話題をつくり出したのですか。

Borchers氏:2007年1月のMacworldから6月のiPhone発売までに起こったことを振り返ると、興奮状態が広がっていました。多くの人々が、それは「Appleの誇大宣伝マシン」によるものだと言いましたが、この期間にAppleがしたことや言ったことを考えれば、そんなことはないと分かるでしょう。そして「ニュースをでっち上げるつもりはない。説明すべきことや話すべきことができるまでは、何も言わないでおく」と言うためには大きな自制が必要でした。その後、発売前の金曜に最初のビデオをリリースし、発売日当日までいくつかのビデオをリリースしました。

--iPhoneの発売によって、人々が列をなして何日間も待ち、その列が一街区を取り囲むような熱狂が起きることを、あなたは予期していましたか。

Borchers氏:MacworldでiPhoneを発表したとき、大きな騒ぎになるだろうということは分かりました。しかし、発売の何カ月も前から、iPhoneを巡ってこれほどの熱狂と情熱が巻き起こることは、Appleの誰もが予想していなかったと思います。しかし、それを体験したので、いざ「iPhone 3G」を発売し、世界中に流通させる段階になったときは、その現象をもう一度作り出せることが分かっていました。皆を驚かせたのは、App Storeの成功です。App Storeを立ち上げたとき、それがうまくゆくであろうことは分かっていました。しかし、9カ月でダウンロード件数が10億件に達すると考えていた人は、誰もいなかったでしょう。これも、それ自身のペースで、そして皆の予測を遙かに上回る速さで成長するエコシステムの一例です。そして、それは今でも減速する気配はありません。

--Steve Jobs氏が先日、肝臓移植について明らかにした際のAppleの対応について、投資家たちは批判しています。Jobs氏がAppleにとって重要であることは間違いありませんが、Appleの今後の成功にとって、Jobs氏はどれくらい重要な存在なのでしょうか。Jobs氏が突然いなくなったら、すべてが崩壊してしまうのでしょうか。

Borchers氏:Steveは素晴らしい人物で、非常に優れたリーダーです。彼の名誉のために言えば、Appleの特徴の1つは、彼の情熱とビジョンを内在化していることです。そして、Appleに長年関わり、この文化の一部である人々が、この6カ月間、指揮を執っています。彼らは6カ月、とてもうまく遂行してきました。Steveが職場に復帰すれば、それは素晴らしい知らせです。しかしそれは、AppleとSteveがうまく連携していることの1つにすぎず、両者のDNAは多くの部分が共通しているのです。

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ

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