アップルの独自性とモバイル業界の現状--元「iPhone」国際マーケティング責任者が語る - (page 2)

文:Marguerite Reardon(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年07月14日 07時30分

--ベンチャービジネスに参入するには非常に悪い時期だという人もいるでしょう。つまり、われわれは世界的な経済不況の真っただ中にいます。資金を集めるのが難しく、多くのファンドが活動停止を余儀なくされています。そんな中あなたは、この市場で、ほかの人たちが見落としている何をとらえているのでしょうか。

Borchers氏:どれほど早く会社を大きくできるかということに関して、市場における見込みが変化していると思います。しかしわたしはこれをチャンスと見ています。モバイル市場は発展を続けています。数年前には、電話を使ってこのようなブロードバンドに近い速度でインターネットに接続することなど想像もできませんでした。今ではこれが当たり前のことだと考えられるようになっています。

 現在、人々は品質を求めていると考えます。ベンチャーキャピタル側では、競争力のない企業の淘汰が起きていますが、Opusのような良質な会社は今も投資を行っています。過去6、7カ月間に6件の投資を行いました。確かに脱落していく者も一部にはいます。そうした起業家とベンチャーキャピタルはここにいる運命ではなかったのかもしれません。

--ベンチャーキャピタリストとして、ほかの人たちと差別化を図る提案内容は何ですか。

Borchers氏:わたしの経歴は明らかに、モバイル分野における企業の設立に役立つでしょう。わたしはモバイル業界の多くの企業を知っていますし、Appleの内部にいました。だからモバイル分野において、応えられていないニーズがどこに存在するかについて幾分見識があります。

 代表的な例は電子メールのプッシュ通知です。Appleはこれを極めて重要視しています。それは開発者にとってよいことですが、あまり気付かれていないのは、これを実現するためにはサーバとインフラストラクチャが必要だということです。また「App Store」には5万種以上のアプリケーションがありますが、ほとんどの開発者は配布をマーケティングと混同しています。彼らはApp Storeに掲載してこう言います。「これでよし。お金が転がり込んでくるのはいつだろう」。けれども、彼らに広告について考えたことがあるかどうか確認する必要があります。今現在、この分野は本当に興味をそそられる場所であり、市場全体が発展しています。

--少し話題を変えて、これまで勤めていた会社について話を伺います。Appleに関して常に感心することの1つは、消費者のニーズを念頭に置いて製品をうまく設計していることです。例えばNokiaのようなほかのコンシューマー企業の多くは、これができていないように思います。どう思われますか。

Borchers氏:Appleは自社製品に関連するエコシステムを構築するということを、非常にうまくやっています。「Nike + iPod」の場合、Appleは多くの人が自分のiPodを身に付けて走っていることに気付きました。iPodの小さな白いイヤホンを付けてジョギングをしている人をよく見かけるでしょう。だから、自然につながりが生まれました。

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