しかし、キャンペーンの背後にあった意思決定プロセスはもっと理論的で、ほとんど人類学的ともいえるものだった。Walsh氏によると、WHOPPER SACRIFICEが人気を博したことのもう1つの中核的な要素は、それがデジタル文化において現実の「緊張」を利用したことだという。つまり、ソーシャルネットワーキングによって、人々が考える「友達であること」の意味がどのように変わったかということだ。
「長い間、社会的な空間において友達を持つということは、社会における一種の通貨のようなものだった」とWalsh氏は説明している。ソーシャルネットワークの「システム全体が、ある意味で、ユーザーがネットワーク内にできる限り多くの友達を集め、できる限り早く友達を増やすことに依存しているといえる。しかし結局、あらゆるものが目新しく感じる黎明期にはすべてが素晴らしく思えるが、ソーシャルネットワーキングの世界に入ってずいぶん時間がたった今、果たしてWeb 2.0の世界における友達とは何か、という疑問が生まれてくる」(Walsh氏)
そのような挑発的な姿勢を、単純で考える必要のないキャンペーンと組み合わせたことが、成功の要因だとWalsh氏は言う。
Walsh氏は、聴衆の中のマーケティング担当者たちに対して、次のように提案した。「多くの疑問に直面し、多くの仮説に直面し、多くの追加要素に直面することだろう。WHOPPER SACRIFICEは、ほとんどゼロに近いメディア予算で、ウイルスのような急速な広まりを見せた。われわれはFacebook自体に小さなバナーをいくつか掲載したが、そのほかにはプレスリリースを行っただけだ。大成功したのは、人々の強い共感を呼ぶものだったからだ」
反響は必ずしも肯定的なものばかりではなかったこともWalsh氏は認めた。
「通知が送られたため、少々残酷だと考える人もいた。友達リストから削除された人は、自分はWHOPPER 1個の10分の1ほども価値がないというメッセージを受け取ることになった」(Walsh氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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