iWork'09、iWork.comの組み合わせで日々仕事をしていて感じることは、MacとiPhone、そしてウェブをいかに活用するエコシステムを築くか、というアップルのバランス感覚の良さだ。
Googleドキュメントは、複数人でドキュメントを編集したり共有したりするときに非常に便利なウェブアプリケーションだ。最新のブラウザで利用すれば、デスクトップアプリケーションさながらの編集方法や機能で、プリントアウトする文書に関しては遜色ない仕上がりを見ることができる。そしてそもそもウェブ上で編集されているので、文書共有の手間もない。
しかし、たとえばKeynoteの目を見張るようなトランジションやエフェクトを使ってプレゼンテーションしたり、写真やビデオなどのメディアファイルを自由に扱ってドキュメントを作ったりすることはまだまだ難しい。しかしMac上のiWorkなら可能だ。
iWork'09とiWork.comは、こんな役割分担をしている。
クオリティが求められる作業については、マシンパワーの向上著しいMacとパワフルなグラフィックやアニメーションのエンジンを搭載するMac OS X上のデスクトップアプリケーションでこなす。つまりiWork'09が担う領域だ。
一方ドキュメントの閲覧・共有や共有した人たちでのディスカッションは、iWork.comを用いて行っている。共有相手はMac、PCにとどまらず、標準的なブラウザを搭載したiPhoneのようなモバイルデバイスも含まれる。
ここで、iLife'09でアップデートされたiPhotoに目を移してみる。iPhotoの新機能の1つにFaces(日本語版では人々)を使って、iPhoto上で人の顔に名前のタグをつけて、Facebook IDとひもづけると、Facebook上でもタグが引き継がれ、公開された場合は写っている人に通知される。
つまりデスクトップアプリからソーシャルサービスを編集する仕組みを持たせているのだ。iWork.comの流儀を、写真ならFacebookやFlickrを活用して、コミュニケーションにコンテンツを載せる流れを作っている。
この流儀は、すべてをクラウドに載せて編集・共有するのではなく、パワフルなデスクトップアプリとウェブサービスをうまく連携させていく仕組みを提案していくほうが快適ではないか、というアップルの提案にも見える。
アップルがハードウェア、ソフトウェア、サービスを提供する会社だからこその視点ではあるが、非常に自然で納得感あるサービスに写る。iWork.com上につけられたアノテーションが、手元のドキュメントにもメモや変更履歴として反映されるようになると、さらにiWork'09の存在価値は高まる。
その姿こそ、当面のドキュメント編集や利用に関するスタンダードなモデルを提示してくれるのではないだろうか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境