IPTV普及の鍵はネットの広告配信手法が握る

執筆:金澤大輔 アドバイザー:福島慎一 監修:海老根智仁(株式会社オプト)2009年02月20日 17時35分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 インターネットの台頭により、GyaO、YouTubeなどに代表されるPC向け動画配信サービスが一般的に利用されるようになりました。

 また、一般のテレビでもインターネットを通じて番組や多種多様なコンテンツを提供できる環境が整い始めていますので、さらに普及が進めば、今まで以上に重要なデバイスになっていくと思われます。

 そこで世界で注目を集めているのが「IPTV(Internet Protocol Tele-Vision)」です。IPTVとは、従来の地上波やケーブルテレビ、衛星テレビとは異なり、IP(インターネットプロトコル) ネットワークを利用してテレビ番組や映画などを配信する新しいサービスです。このサービスは「放送と通信の融合」の注目分野として、放送、通信ならびに多くのハードウェアメーカーからも期待されています。

 IPTVを大きく分けると、1)現在の地上波放送や衛星放送と同様に決まった時間にテレビ番組が放送されるIPマルチキャスト放送(放送の同時再送信)や、2)利用者が好きなときに過去放送された好みの番組やその他のコンテンツをいつでも観ることができるVOD(ビデオオンデマンド)を指します。

IPTVの具体的な例IPTVの具体的な例

 今回の記事では、IPTVが日本で普及するのか、そしてIPTVが発展するためにはどのような広告手法が求められるか、について言及したいと思います。

IPTVの世界動向について

 現在、IPTVは海外で先行して普及が進んでおり、IPTV市場全体が大きく成長すると期待されています。米国調査会社ABIresearchの調査によれば、2007年の世界のIPTVサービスの加入者数はわずか1350万でしたが、2013年までには9000万以上に成長するとも予測されています。

 また、規格面に関しても、海外では国際的な機関が世界標準技術の策定作業を始め、日本でも2008年3月に総務省が日本の技術の国際標準化を進めるための「IPTV特別委員会」を設立するなど重要視されてきています。

 実際の提供内容に関しては、欧米ではIPTVでの地上波放送のマルチキャスト型とVOD型がすでに同時提供されているのに対して、日本ではマルチキャスト型は一部地域からの実験が始まったばかりであり本格的なサービス提供はこれからという状況です。

今後日本においてIPTVは本当に普及するのか?

 では、実際に日本でもIPTVは普及していくのでしょうか。

 日本全体で約4000万人以上といわれるビデオ視聴者やレンタルビデオ視聴者と比較しても、現時点で約80万世帯と推計されるIPTVサービスの利用者はまだまだ少数派と言えます。

 まだ普及初期段階とはいえ、今後、ABIresearchの予測どおりに日本でも普及が進んでいくのかどうかについては疑問に感じています。

 なぜここまで注目されているIPTVが日本では普及しにくいと考えられるか、以下が重要なポイントとしてあげられると思います。

  • 地上波や衛星放送のIPへの再送信がまだ実験段階
  • 放送と通信の法規制(緩和されてきているが、まだ不十分)
  • 著作権の処理
  • テレビ番組提供スポンサーへの配慮(番組中に流れるスポット広告が主である欧米と異なり、日本では提供スポンサーからのタイム広告費で番組制作費がまかなわれているため、ネット配信時に別の広告主がつくことを配慮する必要がある)
  • コンテンツがまだ充実していないこと(または、ケーブルTVなど多チャンネルサービスとの差別化がされていない)
  • サービスにより機器(セットトップボックス)の外付けや内蔵機種の新規購入が必要なこと

 中でも、一番のボトルネックになっていることは、「視聴するために料金がかかること」だと思われます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加