おそらく現在の経済情勢のために、あるいはWeb 2.0時代が終焉を迎えようとしていることによって、ソーシャルメディアにこれといって注目すべき新規参入はなかった。かつてFacebookや、あるいはTwitter、Diggなどが巻き起こしたようなセンセーションをもたらす新興企業は生まれなかった。ロケーションベースのモバイルソーシャルネットワークは、期待されたほどのセンセーションを引き起こすことはなかった。また、景気後退の影響はまずソーシャルメディアの第2階層や第3階層を直撃し、ImeemやBuzznetといった企業は従業員のレイオフを余儀なくされた。Twitterのライバルと目されていたPownceは業務を全面的に停止し、資産をブログソフトウェア会社のSix Apartに売却した(そのSix Apartも一連のレイオフを実施した)。苦境にあるYahooは、ソーシャルネットワーキングサービスのベータ版「Yahoo Mash」を閉鎖した。
その間、Facebookは2007年からの懸案事項に手を付けた。「Facebook Beacon」をめぐる騒動を過去のものとし、Googleの元幹部やワシントンの関係者を幹部に迎える一方で、5月には「Facebook Connect」を、8月には「Engagement Ads」を発表した。コード盗用でFacebookを訴えた新興企業のConnectUはある種の和解を受け入れた。なお、ConnectUの共同創業者のCameron Winklevoss氏とTyler Winklevoss氏は、その後間もなく北京オリンピックのボート競技で6位に入賞している。
2008年後半になると、2008年すでに発表されていたデータポータビリティサービスや「ユニバーサルログイン」サービスのいくつかが開始された。Facebook Connectや「Google Friend Connect」、Viacomの「Flux」が開始され、またMySpaceは、「Flock」ブラウザ向けのOpenIDユニバーサルログイン標準を管理する拡張機能の開発を支援し、「Data Availability」プロジェクトを立ち上げた。
しかしほかの多くの業界と同様に、ソーシャルネットワーキングにとって2008年という年は低調の内に終ろうとしている。今回の景気後退のため、従業員によるストックオプションの売却を認めるというFacebookの計画は頓挫した。MySpaceの最高経営責任者(CEO)であるChris DeWolfe氏は、同社が広告売り上げを伸ばしていくことができるかどうかについて懸念を表明した。TwitterとDiggは、RockYouやMeebo、Yelp、LinkedIn、Ningなどと同様に、ベンチャーファンドから資金を調達し、嵐が通りすぎるのを待つ間も成長を継続することを狙っている。
FacebookとMySpaceがソーシャルメディアでトップ争いを続けていることからも、これが一時の流行などではないことは明らかである。しかし、2009年には収益性という問題によってわれに返ることになるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境