1996年。そのカーブした形から「バナナフォン」の愛称で親しまれた「Nokia 8110」は、1999年の映画「マトリックス」で主人公が持っていた「マトリックスフォン」としても有名だ(この写真に写っているのは薄紫色だが、「マトリックス」では緑色だった)。
8110がKeanu Reevesの手から滑り落ち、舗道に落下するまでずっと、カメラがNokiaを追い続けたこの映画以降、携帯電話のプロダクトプレイスメントは多用されるようになった。当時、誰もが8110を欲しがったものだ。
8110以外にも多くの定番を提供していたNokiaは1990年代後半、他を圧倒しており、当然のことながら、8110の発売に関するプレスリリースでは、「初の」エルゴノミクス携帯電話だと主張していた。「手になじみ、どのポケットにも収まる。画期的な曲線のデザインは顔の自然な形にフィットする。(中略)マイクが埋め込まれている送話口はキーパッドを保護しており、手前にスライドすると、あごの輪郭にフィットする」
1990年代半ばの携帯電話の宣伝文句といえば、頭文字だらけの技術仕様を並び立てるのではなく、あごの形に沿ったエルゴノミクスを売り込むことだった。時代は変わったものだ。
提供:Nokia