[レビュー]高品質メモリメーカーの電源ユニットは、やっぱり高品質だった--CORSAIR電源「CMPSU-750TXJP」 - (page 2)

CORSAIR
CMPSU-750TXJP
内容:自作ユーザーに「コルセア」と言えば、誰もが真っ先に「メモリ」をイメージするだろう。それもどちらかと言えばオーバークロックに強い、ハイエンド系のメモリである。そんなイメージを持つCORSAIRだが、世界的に見れば電源ユニットでも幅広く支持を得ているメーカーなのだ。ここではそんなCORSAIRの電源ユニット、3シリーズ7モデルをズラリと並べて見ていきたい。

これを選べば間違いない! CMPSU-750TXJP

 CMPSU-750TXJPは「定格出力」750W、標準的なサイズのATX電源ユニットだ。つや消しブラックに塗装された筐体は、デザインセンスを感じさせる仕上がりだが、最大の特長はそこにあるのではない。まず知っておいて欲しいのは、CMPSU-750TXJPの+12V出力が1系統、すなわち1レールにまとめられているという点だ。実はこれが、最近のハイエンドな自作PCにとって、大きなメリットとなるのである。

  • CMPSU-750TXJPのパッケージ内容。マニュアル、コンセント接続用のケーブル、ネジ、結束バンド、エンブレムシールなどが付属している。

 ご存じのように最近のCPU、例えばCore2DuoやCore2Quadなどは、以前のPentium Dと比較して消費電力が小さい。ところが特にゲーム系のハイエンドマシンに必須となる、描画スピードが高速なビデオカードは、CPUよりもはるかに大きな電力を必要とする。特に重要視されているのが、+12Vの出力である。

 ところが電源ユニットの多くはマルチレール設計になっていて、+12Vの出力を3レール、4レールと分けている。当然、1レールあたりの出力は小さくなる訳だ。そうなるとトータルの出力では十分足りているのに、レール分けのせいで「ビデオカード分が足りない!」といった事態も発生するのである。

 が、しかし。CMPSU-750TXJPの場合は、そういった心配が無い。CMPSU-750TXJPは+12Vの出力が1レール設計のため、トータルで最大60A、ワット数にしてなんと720Wを出力できるのである。これならCPU、ビデオカード、その他のデバイスを十分にカバーすることができる。また、750Wという出力自体が、筆者の経験上、実にバランスがいい。ハイエンド系のCPUとビデオカード2枚差し、複数のドライブを稼働させても、よほど特殊な環境でない限りは十分に対応できる。

 最初からハイエンドなPCを自作するユーザーにも、スタンダードなスペックからスタートし、除々にアップグレードして行きたいユーザーにも、安心してお薦めできる電源ユニットなのだ。だからこそこのCMPSU-750TXJPを代表として取り上げた訳だが、もちろんお薦めの理由はそれだけではない。まず何より用途の幅が広い。

  • サイズは幅150mm、奥行き160mm、高さ86mm、重量は3.16kg。サイズは標準的である。ブラックの筐体がシックでスタイリッシュだ。

  • CMPSU-750TXJPのスペックラベル。「+12V」の欄が1つしかなく、しかも60A、720Wも確保されている点に注目。

 最初にも書いたがCMPSU-750TXJPは、ゲームユーザーやオーバークロックユーザーなどに最適な電源ユニットである。さらにCMPSU-750TXJPはATX12V v2.2規格だけでなく、EPS12V 2.91規格にも対応している。このためATX+12V電源コネクタは4+4ピンになっており、一般的なマザーボードだけでなく、サーバやワークステーション用途にも対応できる。

 もっともサーバなどで使用する場合、その信頼性が問題になってくるのだが、CMPSU-750TXJPは安心だ。メーカーの5年間保証、そしてMTBF(平均故障間隔)10万時間などは、信頼性をアピールするものだから。また、設計自体にも信頼性を優先させたと思われる部分がある。それは搭載している140mm角電動ファン(TX650Wは120mm角)に、2ボールベアリングタイプを採用している点だ。

 電動ファンには大きく分けてボールベアリングタイプと、スリーブタイプがある。大ざっぱに言ってしまうとボールベアリングタイプは信頼性が高く、スリーブタイプの方が静音性に優れている。もっとも製品によって状況は異なるので、全てがこの通りという訳ではないのだが……。いずれにしてもCORSAIRはCMPSU-750TXJPを始めとして、電動ファンに信頼性を求めた訳だ。

  • 2ボールベアリング、140mm角電動ファンが搭載されている。温度を感知し、回転数を自動的に調整するようになっている。

  • CORSAIR電源ユニットに共通する、小さなポイント。電動ファンのファンガード部分が「飛び出さない」ように設計されているのだ。電動ファンの面がフラットなので、本体ケースを選ばず利用できる。

  • 電動ファンにはエアフローを調整するためか、透明なシートが取り付けられている。

  • CMPSU-750TXJPの内部。なお、保証を受けられなくなるので、通常は開けないで欲しい。

  • アルミ製ヒートシンクと、日本製の105℃定格コンデンサが目立っている。

 一方、ゲームマシンなどを組む場合に重要なのが、ビデオカード用の補助電源、いわゆるPCI Express電源コネクタだ。この点、CMPSU-750TXJPは大変充実している。汎用性の高い6+2ピンのPCI Express電源コネクタを、計4つ提供しているのだ(TX650Wは2本)。ATIのHD 4870X2シリーズなど最先端のハイエンドビデオカードは、8ピン電源コネクタと6ピン電源コネクタ、2系統の補助電源を必要とする。そんなビデオカードを2枚差ししても、CMPSU-750TXJPなら問題なく利用できる。

 しかも+12Vが1レールで、供給される電力も十分確保できる。この点だけを見ればCMPSU-750TXJPは、ゲームマシンの電源ユニットにピッタリなのである。サーバにも、ゲームマシンにも活用できる。これこそ汎用性の高い電源ユニットと言えるだろう。「これを選べば間違いない」という理由はこのあたりにあり、別の言い方をすると「迷ったらCMPSU-750TXJP」ということなのである。

 もちろん固定式の電源ケーブルに難色を示す人もいるだろう。しかし、逆にモジュラータイプのコネクタ接続を、ノイズなどの関係で嫌う人もいる。固定式の電源ケーブルであっても、きちんと整理してやれば、本体ケース内のエアフローにはほとんど影響しない(そのためにCORSAIR電源ユニットには、結束バンドが付属している)。

 実際に動作させてみたが、CMPSU-750TXJPに搭載された電動ファンのノイズは、本体ケースの空調用電動ファンなどのノイズに飲み込まれてしまった。ベンチマークなどで負荷を掛けつつ、消費電力の推移などを見守ってみたが、まったく問題は見つからなかった。

 後述するが来るべきCore i7時代も見据えて、CMPSU-750TXJPは電源ユニット選びの選択肢に、是非とも入れたい一台だと感じた。

  • ケーブルは固定式だが、むしろ固定式を好むユーザーも多い。コネクタ部分で発生する可能性のあるノイズなどを嫌うからだ。

  • メインのATX電源コネクタは、20+4ピンの24ピンタイプ。汎用性が高いコネクタだ。

  • PCI Express電源コネクタは、やはり汎用性の高い6+2ピンタイプが計4つ用意されている。ハイエンドビデオカードの2枚差しにも対応しているということだ。

  • 8ピンのEPS12V電源コネクタは2つに分離できるタイプ。分離すれば4ピンATX12V電源コネクタとして使用できる。

  • ペリフェラル電源コネクタも十分用意されている。長さも十分だ。

  • Serial ATA電源コネクタは8つ。1本につき4つのコネクタで、2本ケーブルが用意されている。

  • Antecのベストセラー本体ケース、Solo Blackを用意して、実際にCMPSU-750TXJPを取り付けてみた。

  • CMPSU-750TXJPのサイズは標準的なので、Solo Blackに内蔵するのになんの苦もない。もっとコンパクトな本体ケースでも、無理なく使用できるだろう。

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