キー操作なんてもう古い!?タッチとシェイクの中国ケータイ - (page 4)

SIMカードが2枚差さる?そんなのアリ?

 ここまでの機能ならば日本でも驚くほどのものではないだろう。しかし次の機能は日本ではありえない中国マイナーケータイならではのものだ。A618の電池をはずしてみると、なんとSIMカードスロットが2つあるのだ。

 ここに2枚のSIMカードを差し、両方の電話番号を同時に待ち受けできる。確かにA618の待ち受け画面を見てみると、アンテナマークが左上に2つあるうえに画面中央にはケータイキャリア名表示が2段並んでいる。

 2枚のSIMカードは個人用と会社用、音声通話用とデータ通信用、自国用とローミング用など、使い分けは自由自在だ。中国では“発信が安いSIMカード、着信が無料のSIMカードを入れて使い分ける”なんて人もいるらしい。

 もちろん片方にFOMAカード、もう片方にSoftbank USIMカードを入れるといったこともできる(日本では使えないので海外のGSMエリアになる)。ケータイキャリアが販売しない端末だからこそ、日本では考えられないようなこんな機能が搭載されることもアリなのだ。

 この「SIMカード2枚差し」機能は当初はマイナーメーカーケータイの特徴だった。しかし最近では中国の大手メーカーが搭載をはじめたり、世界シェア上位のサムスンが「DUOS」シリーズを展開するなど、製品の数は増え始めている。日本ではデュアルナンバーサービスなどがあるが、思い切って中国ケータイを真似た「デュアルFOMAカードケータイ」なんて出したら意外と便利なんじゃないだろうか?

待ち受け画面にはアンテナマークが2つ、キャリア表示が2段ある。「3」と「Sunday」はそれぞれ香港のキャリア名。緑色の発信キーも[1][2]の2つがあることに気がつく(赤枠部分) 待ち受け画面にはアンテナマークが2つ、キャリア表示が2段ある。「3」と「Sunday」はそれぞれ香港のキャリア名。緑色の発信キーも[1][2]の2つがあることに気がつく(赤枠部分)
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電池をはずすとSIMカードスロットが2つ。もちろんFOMAカードとSoftbank USIMカードを入れても海外のGSM圏で使える 電池をはずすとSIMカードスロットが2つ。もちろんFOMAカードとSoftbank USIMカードを入れても海外のGSM圏で使える
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ケータイを振って操作、iPhoneも真っ青?

 ここまでの機能はまだまだ序の口だ。このA618は最新ケータイということで、iPhoneも真っ青なモーションセンサー機能を搭載している。日本でも同じ機能を搭載したケータイはいくつかあるが、中国のマイナーメーカーですらそんな機能は搭載しはじめているのだ。本体を振ることで、こんな操作ができる。

- 壁紙の変更
- メニュー画面の切り替え
- 再生中音楽を次の曲へ
- TV、FMラジオの局を次へ切り替え
- 写真、動画、TV画面の縦方向と横方向の切り替え
- モーションセンサー対応ゲームのコントロール

 音楽や動画を楽しむのならば本体を振るだけでほとんどの操作ができてしまうわけだ。メディアプレイヤーとして比較すると、A618のいくつかの機能はあのiPhoneよりも優れている、と言えるかもしれない(笑)。

モーションセンサーの設定画面。本体を振るだけでこれだけの機能に対応している モーションセンサーの設定画面。本体を振るだけでこれだけの機能に対応している
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本体を持って振ると…… 本体を持って振ると……
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画面が横に切り替わる!意外と便利 画面が横に切り替わる!意外と便利
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実用性よりメーカーのアイデアに脱帽

 ほかにも音楽/動画再生、電子ブックリーダー、PCとつないでウェブカメラ/マスストレージ、充電はUSBケーブル1本でACアダプタ不要、PIM機能や世界時計、着信専用モード切り替え、Bluetoothなどなど、中国マイナーケータイの多くがA618と同じ機能を搭載している。なお本体にはスピーカーがあり、驚くほど大きな音量で音楽を再生できる。音質はさておき、ラジカセやステレオがいらないほどだ。

 もちろんこれらの機能や実用性、使い勝手などはイマイチのものも多い。しかし前述したデュアルSIMカードのように大手メーカーが採用をはじめた機能もある。すなわち中国のマイナーメーカーたちは同レベルの他社や大手メーカーに負けじとアイデアをつねに絞っており、そこから新しい“何か”が生まれてくる可能性もあるわけだ。

 もちろん資金や開発力、アイデア力の欠乏などにより大した知恵が浮かばないこともあるだろう。メニュー画面のアイコンなどは、どう見てもどこかから真似てきたようなものも多い。

 しかしこうやって自由な発想で端末を開発するからこそ、時にはおもしろいだけではなく実用性の高い、新しい機能も生まれてくるかもしれない。なかには他社のコピーだけに明け暮れるメーカーもあるだろうが、差別化のために従来にはないデザインや素材を採用したケータイを出してくるかもしれない。

 そしてそのようなメーカーの工夫を評価するのはケータイキャリアではなく消費者そのものなのだ。そうやって生き残りをかけたメーカー同士の戦いから、また明日も新たなトンデモケータイが中国のどこかで生まれてくるに違いないだろう。次回はどんなトンデモケータイにめぐり合えるのか、楽しみである。

山根康宏

携帯電話研究家。メーカーの香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立して現職となる。香港を拠点にフリーランスとして活動中で、世界各国の携帯電話事情を日々追い求める毎日である。日本と海外の携帯電話ビジネスの違いなど、海外在住者ならではの視点による記事やコラム、書籍などをオンラインメディアなどに執筆している。また海外進出を考える企業向けにコンサルティング活動も行っている。

2001年から本格的に収集を開始した海外携帯電話のコレクションは現在500台を越える。香港に私設の海外携帯電話博物館(仮称)を設置するほどの携帯電話好きでもある。展示会取材などで世界各国を回る際も現地で携帯電話を実際に購入してみるなど、各国の体験レポートなども得意としている。個人サイトは「香港携帯情報局」。

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