日本通信、ドコモと相互接続するMVNO新サービスで黒字浮上計画 - (page 2)

 日本通信はこのサービスを開始するために、以前からNTTドコモと協議を続けてきた。6月13日には、同サービス提供に向けてNTTドコモとの3Gネットワークの相互接続に関する接続料金について合意しており、6月30日には同サービス提供のために海外メーカーの携帯端末を使用することを発表していた。今回は海外メーカー製端末を使用することで、国内のスマートフォンより安価にサービスを提供できる見通しにある。

 以前から準備を進めてきた期待の事業がいよいよスタートする見込みとなった。日本通信はこれまで、同サービスへの先行投資などもあり、業績面では苦戦が続いていた。

 2008年3月期は、連結売上高が2007年3月期実績比14%減の34億1900万円、経常損益は10億6300万円の赤字となった。2007年3月期も経常損益が5億9900万円の赤字だった。

 日本通信は米国でもデータ通信MVNO事業を展開。当初、Verizonとの契約を締結したが、サービスを開始することができず、昨年4月にU.S. Cellularへ契約を切り替えた。日本国内と同様に難航していた状況を打開している。

 米国では2007年12月には相互接続が完了し、すでにサービスを開始。事業収益はネットワーク費用および営業経費などの先行投資的支出により赤字となっているが、赤字幅は縮小傾向に向かっている。

 日本通信がこれまで日本、米国で準備を行ってきた事業が、今期からようやく収益寄与してくる段階となってきた。会社側の自信も大きく、今期は売上高が前期比70%増の58億1100万円、経常損益は5億9900万円の黒字に浮上する計画となっている。経常損益の黒字浮上は、2006年3月期以来3期ぶりとなる見通しだ。

 業績は今期の黒字浮上を皮切りに、来期以降も黒字体質の定着と、拡大傾向への転換が期待される状況にある。これまで、日本通信株はMVNOサービスの将来性を材料に物色されており、業績面は二の次だった。今期の収益黒字浮上は、同社株にとって大きな転換期にもなりそうだ。

 MVNOサービスの市場についても、ディズニー・モバイルの登場などにより知名度を上昇させている。今後は日本通信の手掛けるサービスについて、株式市場でもより注目を高めていきそうだ。

 新興市場全般は下落基調が続いており、人気離散が著しい。中で個人投資家は日本通信のような値動きの良い銘柄に注目している。日本通信は8月14日に今3月期の第1四半期決算発表を予定。そこで業績計画が順調に推移していることが確認できれば、見直しの動きが一気に進む可能性もありそうだ。

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