そんなLe Meur氏がSeesmicを提供するに至ったのは「ネットでのコミュニケーションがまだまだリアルに届かない」というジレンマがあったからなのだという。
現在、ミニブログやメッセンジャーサービスをはじめとして、数多くのコミュニケーションツールが存在する。しかしその多くはテキストや音声によるコミュニケーションであり、「実際に会って話すということに近いサービスとして考えると、YouTubeのような動画共有サービスでさえ(リアルタイム性に)満足できないものだった」(Le Meur氏)という。そこでSkypeの創設者たちをはじめとして、600万ドルの出資を募り、Seesmicを設立した。
英語のほか、フランス語や日本語の表示にも対応するSeesimic。利用者は米国やフランスがもっとも多く、そのほかにもスペインなどラテン系の国々のユーザーが続く。しかしその一方、日本をはじめとしたアジア圏での利用はまだ多くない。一般的に日本ではウェブ上で顔を出すことに抵抗があるという声も少なくないが「日本でもブログの利用は盛ん。英語以外の言語としては最初に日本語にも対応しており、これからだ」(Le Meur氏)という。Seesmicは今後1年間をユーザー拡大のフェーズ、としており、100万ユーザーの獲得を目指す。その後、そのユーザーをベースにして広告モデルでの収益化を検討している。
6月5日から6日にかけて開催された招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2008 Spring」でLe Meur氏が講演したところによると、同氏がアムステルダムへ旅行した際、クレジットカード会社経由で勧められたホテルの設備がとてもひどいものだったのだという。それをSeesmic上で伝えたところ、ほかのユーザーから「このホテルがいい」といった多くの反応があった。
こういった経験を踏まえ、Le Meur氏は「将来的には友人や信頼できるユーザーのレコメンデーションと、それに連動した広告やECを提供できれば今まで以上に効果のあるのではないか」と、ソーシャル広告の可能性について述べた。そして、「あまりにも長期的なビジョンなので、さらに資金調達が必要になると思う」とも語っていたが、実際に6月末にはeBay創業者のPierre Omidyar氏が設立したOmidyar NetworkとWellington Partnersから600万ドルの出資を受けており、着々とサービス運営の土台を築きつつある。
正式版こそ始まったものの、現状のSeesmicの完成度はどのくらいというのだろうか? Le Meur氏は「Never Finished」と答えた。「完成することはない。我々がすべきことはコミュニティの要望を実現していくこと、その繰り返しだと思っている」(Le Meur氏)。
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