EシステムにはE-1発表時より一貫して装備されている機能にダストリダクションシステムがある。これは撮像素子に付着したゴミを除去してくれる機能だ。具体的にはローパスフィルタの前に装備されたフィルタ(SSWF)を超音波で振動させてゴミをはじき飛ばすという仕組みだ。
最近では各メーカーからもゴミ対策されたデジタル一眼レフが発売されているが、Eシステムはすべてのモデルにダストリダクションシステムを搭載してきた。この機能は手ぶれ補正やライブビューのようにあまり注目を浴びる機能とは言えないが、常にゴミ問題がつきまとうデジタル一眼レフには、もはや欠かせない機能のひとつだと言えるだろう。
特に他のメーカーのゴミ対策機能のないカメラを使用した事がある方なら、一度は撮影した画像にゴミの影を発見したことがあるに違いない。そのような場合は直接カメラの撮像素子を掃除してゴミを取り除く必要があるのだが、その手間と撮像素子を傷めてしまうリスクなどからなかなか手を出せないでいるという話も良く聞く。
その点ではEシステムのダストリダクションシステムは非常に効果的であり、Eシステムだけを使用しているとゴミ問題そのものを忘れてしまうほどだ。E-3に搭載されているダストリダクション機構はE-510と同じ物となりE-1に搭載されていたものよりも強力なシステムとなっており、より安心感の高いカメラとなっている。
E-3を使用していて、もうひとつの大きな安心感につながるものとして防塵防滴でタフなカメラであることが挙げられる。大人が踏みつけても壊れない程に頑丈といわれているマグネシウム合金製ボデイには徹底したシーリングが行われており、防塵防滴仕様のレンズと組合せることで、ちょっとやそっとの風雨ではまったくびくともしないカメラとなる。このタフな点だけを挙げてもE-3の大きな魅力だと言える。
かつてまだE-1を導入したばかりの頃、私はある取材で台風の大雨のなか奥日光の小田代が原に、ある写真家氏と撮影に訪れたことがある。その写真家氏もE-1を使用していたのだが、大雨のなかでも雨よけもないまま撮影を行っていたのだ。
当初、私は半信半疑で自分のE-1にはビニールで雨よけをしていたのだが、あまりの風雨でままならなくなり、終いには私のE-1もびしょびしょになりながらの撮影となったのだ。もちろん写真家氏のE-1も私のE-1もまったく問題なく稼働しており、撮影も滞りなく終了することができた。
以来、E-1における信頼度は大きく、それは同時にE-3における信頼にもつながっている。事実、昨年から今年にかけて冬の八ヶ岳、駒ヶ根、北海道にて雪中での撮影にE-3が活躍している。気温マイナス15度を下回るなかでも問題なく動作しており、雪に埋もれながらもトラブルもない。解けた雪により濡れても、室内との温度差による結露によりびしょびしょになっても、しっかりと乾かしておくだけで翌日もきっちりと働いてくれたのだ。かつてこのようなカメラはありえなかった。この撮影シーンを選ばないタフさが写真の表現の枠を大きく広げてくれるのだ。
このようにすでにさまざまな撮影現場で使用しているE-3だが、私は待っただけの事は合った仕上がりだと感じている。だが、決してこれで100%満足している訳ではない。まだまだ改良してもらいたい点も多々ある。たとえば、液晶画面はいまひとつヌケの良くない発色で実際に記録された画像との印象にずれを感じてしまうことがある。
画像にしてもダイナミックレンジ自体もう少し余裕が欲しい。更なる高感度ノイズの軽減は必須だ。ホワイトバランスは屋外での撮影は非常に良い仕上がりなのだが、室内での撮影では迷いが出る事が多い。そもそもホワイトバランスがあまりにも正直すぎるのか、ミックス光での撮影となると灯りの種類ごとに部分部分で色の違う画像となってしまうことがある。ちょと真面目すぎるほどに敏感だ。
またこれも細かいことだが、接眼部のアイカップが非常に外れやすいのには参っている。カメラバッグにE-3をしまう度にずれて外れてしいまい、とうとう撮影現場で紛失してしまった。新たに付けてもまた外れてしまうと、それ以来外れたままで撮影している。つまらないことと思うかもしれないが、プロの機材として考える以上、使用頻度が非常に高いことを念頭に入れて開発してほしい。E-3は、つまらないことでケチをつけたりしたくないカメラであるから、余計にそう思ってしまうのだ。
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