もっと楽しい検索を--百度の技術を統括する元はてな社員 - (page 2)

鳴海淳義(編集部)2008年04月21日 14時03分

--検索窓があるだけの中国版百度に比べて、日本版百度はトップページでも何らかのコンテンツを楽しめる仕組みになっていますね。

 そこもやはりコンセプトが違っています。すでにGoogleは存在しているので、Googleっぽいものを作っても意味がないですよね。なので、日本版サービスでは、「遊べる検索」をコンセプトとしています。僕は検索自体がそもそも知的な遊びであるとよく言っているんですが、そういったコンセプトを大事にしてものを作っています。

日本の百度日本の百度のトップページ

 Googleも最近はいろいろとサービスを出していますが、結局はシンプルなものがベストだと彼らは感じているわけで、多くのサービスを持っているのにトップには表示せずに、とにかく検索ということをよく知っている人ができるだけ早く検索できるように、という目的に特化している。ヤフーは真逆で、とにかく全部出してしまう方針をとっています。

 我々は、ユーザーさんに検索そのものをもっと楽しいと感じてほしい。検索はもっと面白くあるべきなんです。

 それは検索結果の画面に多くの情報を出すだけでは実現できないと考えているので、現在は模索している段階です。Googleのユニバーサルサーチというアプローチが正解なのかもまだわからないですね。1つのやり方だとは思いますが、同じことをやってもつまらないというのもあります。

 そういった新機能のリリース時期は未定ですが、とは言っても、1月に日本で検索を正式リリースしてからいつまでも低空飛行を続けているわけにはいかないので、我々のコンセプトを表現したものが2008年中には出てくると思います。

--百度を使ってみてまず驚くのは表示速度ですが、なぜ速いんですか。

水野貴明氏

 スピードは最重点課題でした。安定性とスピードは何よりも重要であると考えています。中国は、クラッカーまではいかないですけど、わりと“荒いユーザー”さんが多いので、そういう洗礼を受けてきたおかげで強くなったみたいなところがあるらしいです。インフラの技術は日本とあまり変わらないんですけどね。

 あとはもちろん、環境的にもなるべく速くできるように余裕を持って作っているところもあります。それだけ重視しているだけに、「百度は速い」と自信を持って言えるぐらいにはなっているかなと思います。

 ネットワーク環境や時間帯に依るので、数値データは出していないですが、使ってみれば体感できると思います。

 そういった意味で百度は地味というか、「百度の特徴って何ですか?」と尋ねられても、実際のところ奇をてらっているところは一切ないです。

 結局、現在の検索行動というのは、検索キーワードを入れて、結果が出てくるというのがメインなので、そこで良い結果を出さないと意味がないですし、それを出せばきっと良さに気づいてもらえるだろうというのが百度の考え方です。

 中国でもそうやって成功してきたという歴史がありました。中国で百度が出てきたときはすでにGoogleもヤフーもあったんですけど、結果として逆転ができたのは地道にやってきたからだっていう成功体験が中国側にもあって、それは我々も納得がいきます。そこはきちっと守っていこうと思っています。

理想は“SEO=良いコンテンツプロバイダ”

--Googleの検索にはリンクポピュラリティという仕組みがありますが、百度にもそういった仕組みはあるのですか。

 あります。一応リンクを解析して、評価する仕組みは持っています。やり方としてはGoogleに近い面もありますね。バランスとか最初の重み付けとかは違いますが、おおまかな仕組みとしては似たようなものを持っていると思います。ただ、やっぱりGoogleさんもそうですし、他のサービスもそうだと思うんですけど、SEOの影響でリンクだけで物事を解決することができなくなってきています。

 なので、それ以外のいろいろな方法、例えば文章の意味を解析したりですとか、あとはスパムをよけたりとか、そういった他の技術が入ってきていますので、リンク自体の重みは下がってきてはいますね。

 最終的にはたぶん、いわゆるSEOっていうものがだんだん意味が無くなってきて、SEOをやるには良いコンテンツを作らなければいけなくなるはず。で、最終的にSEOやっている人たちが実は一番良いコンテンツプロバイダになって、みんなハッピーになるっていうのがいいかなって思うんですけどね、理想としては(笑)

--過剰なSEOというと、現在はやはり「有料リンク」(Paid Link)が主流ですか。

 いまはそうですね。有料リンクもかなり対策が練られつつあるので、減ってはきていると思うんですけど。

 いまの検索エンジンのミッションていうのは、どの会社もSEOを無効にすることだと思います。あとはブログのスパムとかですね。そういったものもどんどん無効にしていかなければいけない。もちろんコンテンツとして存在することには意義があると思うんですけど、ユーザーさんがそれを欲していないときには表示されないようにするというのはやっていきたい。

 Paid Linkの他にひどいのはブログスパムですね。ツールがすごくたくさん出てしまっているので、1万円、2万円くらいで買えてしまって、1日100回更新できますと謳っている。ワードサラダみたいなものもひどいですね。だんだん機械的に判断するのが難しくなってきています。ただ、そうはいってもまだ人間が見てわかるものは機械的にもなんとかなるだろうと思います。

--日本のブログの4割がスパムだという調査結果もありました。

 ニフティさんの発表ですね。体感としては、もっとひどいんじゃないかと思いますけど。過去のブログも含めた総体としては4割くらいかもしれないですけど、日々更新されているものを見るともっとあるんじゃないでしょうか。

 ブログサービスをやっているプロバイダーさん、僕がいたはてなもそうですけど、あそこでも対策はもちろんしているんですけど、ブログサービスによってスパムの多さは違っていて、ひどいところは本当に9割に上るとも言われています。

 はてなではかなり気を付けて対策していましたが、それでもありましたね。あるけれど、かなりの割合のスパムは出てから数時間以内に止めています。自動検出する仕組みも持っていましたので。やっぱり最終的にスパムって完全に自動で消すことはできないです。機械で判別しても絶対漏れがあって、もし違うものを消してしまったらアウトなので、かなり厳しいですよね。

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