ひろゆき氏が考える、ニコニコ動画と日本の目指すべき方向性とは - (page 3)

永井美智子(編集部)2008年03月17日 08時00分

――ニコニコ動画が目指しているのはどういう場なんですか。

 かなり要素が多すぎるので複雑なんですよね。技術者が「こうしました」と言って、動画職人もそれに合わせた、でもコメントをする人が合わせなかった、っていうと、それは成り立たない。だから、どっちを目指すべきかというゴールを僕らが決めることもできないし、どこにあるのかもよくわからないんですよね。

 僕らがコントロールできる要素とできない要素があって、コントロールできない要素のほうが、ニコニコ動画の未来に与える影響が大きいというところが面倒なんじゃないですかね。似たような例があんまりないので、説明しづらいですね。

――2ちゃんねるではそういうのはなかったんですか。

ひろゆきこと西村博之氏

 2ちゃんねるは別に僕、止めないですから(笑)。行き過ぎた人が警察に捕まるっていうだけ。あ、ここはこれ以上はいけないのねって。

 ニコニコ動画には一応それなりの予算がかかっているので、ビジネスという落としどころに最後は行かないといけないというのがスタッフの総意としてある。でも、そこに向けようとし続けると、ユーザーはぷいっと別のところを向いてしまうので、そうならないようにどこでバランスを取るかだと思うんですよね。

――そこの判断基準は結局、面白いかどうかということになるんですか。

 面白くなる要素があるかどうかですかね。ニコ割を使った連続ドラマというのをちょこちょこやっているんですが、脚本をユーザーに書かせちゃって、初音ミクが喋るような形で募集したりとか、そういう感じで使うのはありかな、という気もするんですよね。

 結局、正解が分からないということなんですかね。検索だったら「キーワード広告を出せばいいんじゃね?」とかあると思うんですけど。

――西村さん自身は、ニコニコ動画を今後どういう場にしていきたいですか。

 大多数というか、多数派の人が面白いと思える場所であればいいと思いますけど。少数の人が「すげぇこれ面白い」といっても、みんなが「つまんない」といったらその人たちしか残らないので、なるべく多数の人たちが「あそこはそれなりに面白いよね」っていう場ですね。

 少数の人がつまんないと言うのはアリだと思うんですよ。すべての人が満足するというのを狙っちゃうと個性のないサービスになっちゃう。ニコニコ動画の場合って、PTAが「こういうサイトはけしからん」と言っても、「知るかボケ」っていうのがポジションなんですよね。僕らにとってPTAは少数派なんですよ。文句を言う人はいる。それは、僕らが面白いものがみんなにとって面白いわけじゃないから。

 で、文句言うやつは来なくていいんじゃね?、と。ただ、「来なくていいんじゃね?」というのを少数の人たちが言っているようなものは、どんどん廃れてしまう。多数派が「あいつら変なこと言ってるなぁ」と思っている限りは、どんどん伸びていくんじゃないかと思っています。棘(とげ)はありつつ多数派、保守的でありつつ軟弱なところはあんまり見せないような感じですかね。

 多数派って結局、保守じゃないですか。あくまで多数を取るというのが守りなんです。ただ、それに対して、「ニコニコ動画はけしからんよね」という人がどんどん増えたら、「あ、ほんとけしからんっす」って多分そっち側につくと思うんですけど(笑)。それまでは強硬にこっち側で「そんなことないっす」って言い続ける。その辺りの柔軟さというか八方美人さというか、っていうのが今後ニコニコ動画が生きていく上で必要なことかなと(笑)

 YouTubeにはインフラコストとかの面で、どうがんばってもかなわない部分がある。毎年赤字垂れ流しても問題ないというような会社とは違います。そうすると多分、小回りの速さでどのくらい勝負できるか、というところしかないような気がしているんですけどね。

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