CTC、業績下方修正でも株価反転上昇の理由

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の株価が2月12日の2007年来安値を底に反転上昇の兆しを鮮明にしている。同社は1月30日に2008年3月期連結業績の下方修正を発表した。業績を下方修正したにもかかわらず、なぜ株価が上昇軌道に乗りつつあるのか、その背景を探った。

 CTCは、1月30日に2008年3月期の連結業績予想の下方修正を発表した。売上高を従来予想の3480億円から3280億円へ、営業利益を同288億円から250億円へ、経常利益を同291億円を260億円へ、純利益を同167億円を145億円へとそれぞれ減額修正した。

 業績下方修正の背景について同社では「ビジネスの高度化・複雑化を背景として高付加価値の案件が増加することで、開発および保守・運用ビジネスを積極的に拡大していることから、売上計上までの期間が長期化している。利益面では、外注コストおよび販売管理費など削減努力を継続的に行ったものの、売上高の減少分を補いきれなかった」としいている。

 さらに、第4四半期(2008年1〜3月)の見通しについて同社では「高水準の受注残高を確実に売上高計上することに注力する。また、注力分野である開発・SI案件に関しては、収益管理をさらに強化・徹底し、不採算案件の縮小に努力する」としている。

 外国証券の情報ソフト関連業種担当のアナリストは「CTCの株価は、2007年1月以降の1年間、ほぼ一貫して下落トレンドをたどってきた。これは、常に不採算案件の発生に伴う業績下方修正が懸念されていたためで、実際にこの第3四半期の決算というタイミングで実際に下方修正が明らかとなり、2008年3月期通期の連結業績がほぼ確定してきたことで、“悪材材料出尽くし”といえる状態になり、市場参加者のあいだに買い安心感が広がり、株価の反転上昇につながったようだ」としている。

 株価はすでに、4月新年度入り以降の業績動向を先取りして織り込むタイミングに入ってきている。CTCの2009年3月期の連結業績は、メガバンクや大手地方銀行向けの受注拡大に伴う金融機関向けの案件の増加がけん引役となり、利益面では大幅な増益に転換する可能性が高まりそうだ。

 同社の株価は、2006年10月27日に7440円の高値をつけて以降ほぼ一貫して下落トレンドを強いられてきた。株価は今年2月12日の2007年来安値2650円まで下落し、65%下落し、株価は約3分の1になってしまっていた。株価は反転上昇の兆しをみせ、先週末の2月22日には、終値で3010円と3000円台を回復している。

 しかし、連結PER13.9倍と依然として割安水準にある。株価が25日移動平均線(22日現在3001円)をクリアしてきたこともあり、今後の株価上昇に期待が高まっている。

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