第1に、現在、独立した8個の処理スレッドをサポートしているゲームは1タイトルしか存在しない。それはMicrosoftの「Flight Simulator X」である(「Lost Planet: Extreme Conditions」のデモ版も8スレッドをサポートしているが、あくまでデモ版であって完成版ではない)。確かにフライトシュミレータのファンは大喜びだが、まったく新しいCPUプラットフォームの存在意義を正当化するのに十分な大きさの市場ではない。ゲームファン市場の大きな部分を担っているシューティングゲームなどのPCゲームのファンにとっては、現在のところSkulltrailの8コアのパワーを生かせるタイトルは存在しない。3.2GHzのCPU速度とSkulltrailの1600MHzの広いメモリ帯域幅を生かせるゲームもいくつか見つかるかもしれないが、4コアの「Core 2 Extreme QX9770」と1基のCPUスロットをサポートした「X48」チップセット搭載のマニア向けマザーボードにしても対応しているゲームタイトル数は同じようなものだろう。しかも、これらの製品がIntelから発売されるのも第1四半期の後半なのだ。
偽善者だと思われてはいけないので、われわれはメインストリームデスクトップにおける4コアCPUは支持しているとためらうことなく認めよう。しかし、現在のところ4コアに対して必ずしも幅広いソフトウェアのサポートがあるとは言えない。それにもかかわらずわれわれが4コアを支持する理由は、パフォーマンスの点でも、さらには価格やフォームファクターという点でも2コアから4コアに比較的シームレスに移行できるからである。しかし、8コアコンピューティングになると2個のCPUが必要であり、冷却装置や電源が2倍になるとともにマザーボードやケースも大型になるため、4コアと同じように考えるわけにはいかない。
最後に、2008年末に発売されるIntelの次世代CPUアーキテクチャ「Nehalem」について考えてみよう。Nehalemでは1個のCPUで8つのコアをサポートすると報じられている。しかし、われわれは現在から2008年末の間に8スレッドをサポートするゲームソフトが大量に発売されるとは予想していない。読者が新製品の陳腐化によって絶対に後悔したくないなら、扱いにくい2CPU搭載のモンスターマシンを使用するより、10〜11カ月待って1つのチップに8コアを搭載したCPUが発売されるまで待っても失うものは何もない。
Intelでは、Skulltrailはアップグレード可能であり、今すぐに8コアが必要ないなら、いつでも1つのスロットだけにCPUを装着して、必要になるまでもう1つのスロットは空けておくこともできると主張している。さらに、IntelはCESでSkulltrailのマザーボードは1基のスロットで8コアをサポートできるようになるかもしれないとほのめかしていた。つまり、16コアによる処理が可能になるかもしれないということである。Skulltrailが実際にそれほど柔軟になるなら、パワーゲーマーも将来アップグレードが可能なプラットフォームとして現実的な選択肢として考えるかもしれない。しかしゲーム開発者は制作するゲームタイトルに、たとえ4コアCPU向けでさえも、使用されない可能性がある余分なサポートを追加することに難色を示している。8コアゲーミングが本当の意味で主流になるまでは、この将来を見据えたプラットフォームの技術仕様でさえもアップデートが必要になるかもしれないとわれわれは考えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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