Tellme Networksの買収も早期にまとまった、とWolfram氏は語る。同氏によると、買収プロセスがスムーズに進んだ1つの要因は、Steve Ballmer氏が同買収のエグゼクティブスポンサーを務めたことだという。「(Ballmer氏は)素晴らしいスポンサーだった」とWolfram氏は振り返る。しかし、仮に買収が早期にまとまった要因がBallmer氏だけではないにしても、買収先企業がMicrosoftの戦略に適応する方法を把握しているビジネスリーダーの存在は重要だ。
では、今後の買収先として注目されるのはどの分野か。たしかに、従来は広告とモバイルが買収先の二大分野だった。しかし、Wolfram氏はこれらの他に2つの分野を挙げた。1つは医療だ。Microsoftは医療分野に参入するための基本的手段として、企業向け医療企業のAzyxxiと消費者向け医療情報検索企業のMedstoryを買収した。
Wolfram氏が挙げたもう1つの分野は、エンターテインメントとデバイスだ。Microsoftはこの分野で、これまでにゲーム内広告企業のMassiveなど数社を買収してきた。しかし、Wolfram氏のコメントや、Microsoftがこれまでこの分野であまり買収を行っていないことを考えると、この分野こそ今後注目すべき分野と考える。特に、Microsoftが引き続きZuneで巻き返しを図っていることを考えればなおさらだ。
Redpoint VenturesのエグゼクティブインレジデンスであるMark Lazar氏によると、新興企業では、設立当初に将来どの企業に買収される可能性があるかという重要な議論がなされるという。企業は、愛憎関係になる傾向があり、新興企業はMicrosoft製品に強く依存しているか、同社の技術を完全に排除しているかに分かれる、とLazar氏は指摘する。
しかし、これらの決断は文化的理由でなされる場合も多いが、企業の出口戦略にも大きく影響する、とLazar氏は指摘する。「例えば、ある企業が『Microsoft製以外の技術のみで』構築されていたら、その企業がMicrosoftに買収を打診するのは極めて困難だ」(Lazar氏)
また技術の分野でもう1つ重要なのは、新興企業が製品の背後にある知的財産を所有しているかという問題だ。中には、買収先の新興企業が知的財産権の支配権を保有していなかったために、仮に保有していればうまくいっていたはずの買収が破談になったケースもあるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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