あなたは今どこにいますか?人間ならこれを問いかけ、答えるのは簡単なことだ。 しかしウェブサービスにとってロケーションとは、複雑で、ときには曖昧なコンセプトである。私は今サンフランシスコにいる。これを誰に知られようと構わない。ではサンフランシスコのどこか?そうなるとあまり公にはしたくない。本稿は自宅で書き始めているが、具体的な住所をここで公表したいとは思わない。しかし友人にこの住所を知られるのは構わない。私の家はどこか?ノーバレーのエリアにある。しかしある不動産エージェントは私がツインピークスにいるといって済ますことができるかもしれない。
ロケーションの曖昧さの処理と、多くの人が自分の居場所にも採用したいと望む条件付きのアクセスを目指して進められている2つの興味深いプロジェクトがある。
Fire Eagle
第1に、Yahoo Brickhouseのプロジェクトである「Fire Eagle」(コード名)だ。これはロケーション情報のクリアリングハウスである。発想は、利用者自身(または自身のアプリケーション)が自分の居場所を同システムに伝えると、その情報が条件付きで他アプリケーションや人々に公開されるというものだ。これはデータの出入りを異なるレベルの精度で処理する。例えば、GPS搭載の携帯電話を所持していて、そこからデータがフィードされていれば、同システムは居場所について正確な情報を保有することになる。しかしFacebookを使って「サンフランシスコ」と入力して自分の居場所を更新しているだけなら、その情報の精度ははるかに限られている。後者の場合、同システムでは、所在地をいくつかの経度や緯度を組み合わせた枠組みによる境界ボックスとして示される。この例では、サンフランシスコ市の境界となる。
利用者の所在地情報はFire Eagleのデータストアにロックインされ、利用者が認可したアプリケーションと人物にしか公開されない。また公開される精度は利用者が認めたレベルまでに限られる。例えば利用者はFire EagleのデータでFlickrに組み込まれる写真が(本プロジェクトは写真の「Zone Tag」をベースにしている)、最も正確なデータを得るものとし、 他方で携帯電話による所在地データは、異なる人に応じて異なるレベルで分配されるように指定することができる:おそらく、配偶者はあなたがどこにいるかを正確に知ることができるが、Facebookでの行き当りばったりの友達は、あなたがどの都市にいるか、またはどの州にいるかという程度しか知ることができないという具合だ。
Fire Eagleは開発者向けに設計されたAPIのセットとなる予定だが、BrickhouseのSalim Ismail氏は、同製品では利用者によるコントロールも可能となることを説明してくれた。これにより、利用者は自分のデータへのアクセスを特定のアプリケーションに対しては許可または拒否することが可能となり、異なる人またはグループに応じて、アクセスレベルを設定することができるという。
Googleの「OpenSocial」APIも所在地データをサポートするものであるが、Fire Eagleは本当に地理データの収集と配布のための完成度の高い、強固なソリューションのようだ。多くのウェブアプリケーションがこれを採用すると予想する。まもなく一般公開となるはずである。プロジェクト名は改称されることになりそうだ。
これがYahooにもたらす利益は何か?Ismail氏によると「これによりわれわれは優位なサービスを提供することができる」という。換言すると、広告である。もちろん直接的にではない。APIを採用するサービスは、ユーザーに対し、より照準を合わせたメッセージを提供することが可能になるということだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果