「大衆」から「個衆」へと変化する市場で注目集める行動ターゲティング - (page 2)

 さらに3つ目の行動ターゲティングとして、近藤氏はサイト内行動分析型を挙げた。この手法では、サイト内での行動を分析することで最適なメディアの選択を行ったり、行動履歴を元にした最適なコンテンツ表示を行うことができるとしている。ポータルサイトとして豊富なコンテンツを持つヤフーにとっては効果的な手法といえる。

 行動ターゲティング広告の実際の効果として、近藤氏はヤフー自社稿のテスト結果を公開した。これによると、行動ターゲティングを行わない場合に比べClick Through Rate(CTR:露出に対するクリック数)が約2.5倍となった。さらにデモグラフィック行動ターゲティングを行うことで、通常の行動ターゲティングより1.9倍になっている。デモグラフィック行動ターゲティングは年齢層を付加したものだ。

 また同時に、エリアターゲティングのテストも行っている。やはり、エリアターゲティングを行った場合はターゲティングを行わない場合に比べて3〜4 倍のCTRを記録している。

 接触量(FQ:フリークエンシ)別の比較においても、ターゲティング広告の優位性が確認されており、同社のテストでは、CTRにおいて2〜2.4倍、レスポンス率において2〜4倍効果的という結果が出ている。さらに同社のアンケートでは、行動ターゲティングを行ったユーザーは通常のユーザーに比べて利用意向、購入意向、アクションが高いという傾向が明らかになっている。

 マーケティング活動における行動ターゲティングの価値としては、モノがあふれた時代のため、商品やサービスのコモディティ化が進み、ユーザーは「大衆」から「個衆」となり、誰もが欲しがるようなモノは存在しなくなったことから、差別化戦略のために活用できることが挙げられる。

 行動ターゲティングを行うことで、想定外のターゲットに広告が訴求されるケースを減らし、顕在化した顧客、ターゲットに設定した顧客に届けたいメッセージを的確に届けることが可能になる。また、アプローチした結果の分析や検証も重要で、これをしっかりと行うことでPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)というPDCAサイクルを回すことができる。

 メディアにおける価値としては、CGM系のコンテンツにおいても的確にユーザーをとらえて広告掲載することが可能であり、高付加価値、高単価の手法を提供できる。これによって、ユーザー、広告主、メディアの3者がWin-Win-Winの関係を実現できるとしている。

 近藤氏は最後に、ヤフーが今後進める広告戦略について紹介した。ヤフーでは2007年7月より、行動ターゲティングと年齢や性別といった属性を組み合わせたデモグラフィック行動ターゲティング、および行動ターゲティングとエリア情報を組み合わせたエリアターゲティングなど、動的データと静的データを掛け合わせた配信を実現している。

 これらを実現しているのは、月間2000万のヤフーIDであるという。さらに今後は適用広告スペースの拡大、モバイルでの展開、深いセグメントの導入、複数サイト横断による掲載スペースの拡充、複数サイト間での共同商品開発などによって、1インプレッションの価値と1リーチの質を向上していくという。

 業界では、パソコン以外での行動ターゲティングとして、モバイルやデジタル家電などユビキタス的な展開や、行動履歴取得を広告主の自社サイトで行う「行動リターゲティング」が始まっているほか、検索連動型広告との連動によって獲得精度を向上するといった展開も考えられるという。

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