マイクロソフトの次なる10億人の顧客へのアプローチ - (page 2)

文:Ina Fried 翻訳校正:吉井美有2007年10月24日 08時00分

―Microsoftが取り組んでいることのなかでも、現在の課題である経済的な問題を超えて人々を支援することのできる技術についてお聞かせいただけますか。

 重要なポイントですね。5年前にこの問題に取り組み始めたころ、私は購入に足る経済的余裕が最大の課題になるだろうと思っていました。しかし、実際には経済的余裕は3番目の問題でした。1番大きな問題は妥当性でした。これは、市場に提供する製品が新興成長セグメントの人々のニーズに合っているかという問題です。インドの田舎や中国の都市部、あるいはここサンフランシスコの下町といった場所で、彼らが実際に持っている特定のニーズや問題に対し、適切で妥当な技術を作っているのかということです。

 2番目は、技術が彼らにとってアクセス可能なものかということです。この技術を買う場所はあるか。サポートは得られるか。ウェブの世界に繋げるためのブロードバンド接続環境は入手できるかというような問題です。そして、経済的な余裕が3つめの問題です。

 例を挙げると、アジアでは教育が非常に重視されているため、われわれは教育に焦点を当てています。南米では、どちらかというと雇用機会と、よりよい職を得られるようソフトウェア技術を活用していただくための支援に重点を置いています。このように、われわれはその地域の人々のニーズに応じて、市場に応じて多様な技術を導入しています。

―さまざまな地域のMicrosoftから集められた、いろんななアプローチをとった興味深いデモを見ました。その1つに、基本的に教室全体で1台のコンピュータを使う「MultiPoint」がありました。これについて少し説明してもらえますか。

 MultiPointはMicrosoft Research Indiaで生まれたものです。彼らは学校に人を送り込み、子どもたちがPCをどう使っているかを調べました。彼らは、子どもたちが1台のPCの周りに集まり、1人がやることをみんなで見て、5分ほどで交代して順番にPCを使うということをする傾向にあることを発見しました。これは望ましい状態ではありません。そこで、彼らはMicrosoft MultiPointという技術を開発しました。この技術を使うと、複数のマウスを使ってそれぞれの子どもが別のカーソルを動かせるアプリケーションを作れるようになります。1人の子どもがスクリーンのある場所で数学の問題を解いている間に、他の生徒もスクリーンの別の場所で数学の問題を解くということができます。

 つまり、スクリーンを時分割利用し、協調活動ができるわけです。これによって、彼らがPCを使ってする学習に熱心に取り組むようになっただけでなく、互いに助け合うようになることがわかりました。これは、教育的な観点からは非常に有益なことだったのです。子どもたちは熱心に協力し合って問題を解いています。

―多くの人が、世界の大多数の人にとっては、最初に使うコンピューティング機器はPCではないだろうと考えています。モバイル機器がそれだという意見です。モバイルは、Microsoftが相当な時間を費やしていながら十分な成果を上げられていない分野です。非PC機器のモバイル市場ではどんな取り組みをしていますか。

 われわれも、世界の多くの人が初めて使うコンピューティング機器が電話になるだろうという考えに賛成します。これは、世界中の新興産業セグメントで現在起こっていることです。携帯電話は価格も下がり、アクセスも増えていて、ちょうど市場が大規模に立ち上がっているところです。われわれは、携帯電話をよりよい機器にするためにできることがあると考えています。

―それは製品化までどのくらいのところまで来ているのですか。ユーザーが持っている電話をもともと持っているテレビに繋いでコンピュータとして使うという試みをされていますね。米国で使われている携帯電話は、技術的には十分高機能です。製品レベルまでどのくらい近づいていますか。

 まだやらなければならないことが残っています。われわれは現在中国で開発をしています。製造パートナーとの契約を済ませており、北京のグループがこれに熱心に取り組んでいます。今後1年以内に試用段階に入ることができるでしょう。これに人々がどう反応するかを見ていくことになります。これは、PCと携帯電話の技術を低価格のデバイスで1つにしようという試みで、新しいコンセプトです。先進国でビジネスマンが歩きながら携帯電話を使うのとは違うものです。われわれは、より多くの人たちのニーズをターゲットにしようとしており、このチャンスに期待していますが、うまく行くかどうかは時間が経てばわかるでしょう。

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