結果として、スマートフォンはこの市場に対応する方向で進化しつつある。これらの「ライフスタイル」機器は、企業向けのビジネスアプリケーションを提供するだけでなく、ウェブベースのメッセージツールや音楽プレーヤー、カメラなどに簡単にアクセスできるといった、普通の携帯電話にある一般的な機能も提供している。
この1年半ほどの間に、ほとんどすべての大手携帯電話メーカーが、こうした市場に対応する製品を打ち出してきた。RIMは、小型のQWERTYキーボードを備えたBlackBerryのスリムバージョン「BlackBerry Pearl」を投入している。Motorolaは「Q」を、Samsungは「BlackJack」をそれぞれリリースした。
そして、Appleが参入してきた。音楽プレーヤー「iPod」と携帯電話、そして自宅のパソコンと同じようにモバイル機器でのネットサーフィンを可能にする携帯型ウェブブラウジング機器の機能を組み合わせた、洗練されたデザインの「iPhone」によって、スマートフォン市場を本質的に再定義したのだ。他のスマートフォンではフルブラウザでウェブを閲覧するのに対し、Appleはモバイル機器のウェブブラウジングインターフェースを新しいレベルへと導いた。
しかし現時点まで、一般消費者の市場にスマートフォンが本当に浸透するには、価格が大きな障壁だった。ほとんどの「一般ユーザー向け」スマートフォンは、いまだに300ドル以上の値段が付いている。iPhoneの価格は、当初499ドルと599ドルに設定されていた。価格は下がり始めてはいるが、スマートフォンは価格設定の高さのために一般市場へ達することが妨げられてきたと、専門家たちは指摘する。
Centroは、一般消費者市場への進出を狙うPalmの試みであり、より魅力的な価格のより小型の機器になっている。価格約100ドルのCentroは、当初はSprintのネットワークで独占的に販売される予定になっているが、次世代のRAZRなどの高機能携帯電話の購入に興味を持っている人々が購入を検討する価格に設定していると、Palmの最高経営責任者(CEO)Ed Colligan氏は米国時間9月27日、ニューヨーク市で開催された消費者テクノロジ見本市DigitalLifeにおけるCentroの発表のなかで説明した。
Centroでは、他社のスマートフォンよりも価格を低く設定したことに加え、デザイン上の問題にも対応すべく努めている。実質的にCentroは、Palmの「Treo 755p」の小型版だ。CentroはSprintの3G無線ネットワークで動作するほか、ユーザーがビジネス用電子メールを受け取れるよう、「Microsoft Exchange Direct Push」技術をサポートしている。またSprintは、一般的なインスタントメッセージ(IM)プラットフォームへのアクセスのほか、「Gmail」やAOL、Yahooなどウェブベースの電子メールへ簡単にアクセスできるサービスを提供する。
「Centroの形態は非常に優れており、標準的な高機能携帯電話と競合していけるだけの小ささになっている。価格は高機能電話なみだが、Treoの性能のすべてを備えている」とColligan氏は述べている。
アナリストらはCentroについて、特にAppleのiPhoneの大々的な騒ぎのあとに投入されたこともあり、価格に敏感な消費者の共感を呼ぶだろうと見込んでいる。その一方で、CentroとiPhoneは互いに競合製品とはならない。価格399ドルのiPhoneは、まったく異なる市場区分を対象としている。機能面から見ても、iPhoneがCentroと張り合うことにはならなさそうだ。電話とメディアプレーヤーの統合製品として、Centroを購入する人は多くないだろう。逆に、優れたデザインを求めているPalmの長年のユーザーが、ビジネス用電子メールへのアクセスをあきらめてiPhoneを選ぶということもありそうにない。
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