メディアアート×ゲームで生まれるものとは--日米の事例を追う - (page 2)

チバヒデトシ2007年09月27日 08時00分

インターネットがアートを身近にした

 稲蔭氏は「ユビキタスコンテンツとコレクティブクリエイティビティ」と題して講演した。「19世紀には才能のあるクリエイターが作品を作り、一般の人がそれを楽しむ構図だった。IT革命のまっただ中にいる“創造社会”の現代は、多くの人が作り出すコンテンツが博物館ではなく一般の場所に存在する」と述べる。慶應義塾大学で研究されている具体的な事例として、触ると膨らみ、無視すると縮んでしまうファーで覆われたランプ「Tabby」や振り回すとさながらライトセイバーのような音が鳴る傘「Amagatana」などを紹介した。

 また、慶応義塾大学と女子美術大学が共同で進めている取り組みとして、オレンジのボールを持ってポーズを取ると、過去のデータベースの中から同じようなポーズをした人の画像がないかをコンピュータが検索して示すとともに、その人のポーズをデータベースに加えるという「MOGA」を紹介した。慶應義塾大学院では新しいエンターテイメントコンテンツを生み出すためのリーダーとなるメディアイノベーターを育成する機関としてメディアデザイン研究科を2008年に設立する予定だ。

遺体の一部 ティモシー・リアリー氏の“遺体の一部”が収められたカプセル

 チューリッヒを拠点に活動するアーティスト集団etoyは、ドメインネームをめぐって米国の大手玩具会社であるeToysと争ったことで有名だ。etoyが運営するサイトのドメイン「etoy.com」はもともとetoyが持っていたが、eToysが高圧的な手段で取得しようとし、騒動に発展。法律家をはじめ多くの有識者やインターネット業界の人々がeToysの行動に大きく反発した。結果的にはeToysの株価は下落し、破産する事になった。SILVAN氏は「1980年代のようにデモに行かなくとも、バーチャルな形で抗議運動に参加でき、勝利を得た」と述べた。

 彼らが現在、進めているプロジェクト「MISSION ETERNITY」は、故人をデータとして保存しようという取り組み。その人のパソコン内のデジタル情報や音声サンプルといったデータをARCANIUM CAPSULEというパッケージとして保存する。

 MONORON氏は「今回、日本でこのプロジェクトを紹介するため、MISSION ETERNITYの被験者となってくれたティモシー・リアリー氏の“遺体の一部”を持参した」として、その“遺体の一部”をおさめたカプセルを公開した。ティモシー・リアリー氏は米国の哲学者で1996年に他界した。

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