企業がソーシャルコンピューティングで「やるべきこと」と「やってはいけないこと」 - (page 2)

山下竜大(編集部)2007年09月07日 14時06分

 “参加のピラミッド”が構成される割合は、無活動者が52%、スペクテーターが33%、ジョイナーが19%、コレクターが15%、クリティックが19%、クリエーターが13%となっている。また、参加者を年齢別に分類してみると、やはり18歳〜26歳が最も多く、30代、40代、50代と年齢が上がっていくと、それだけ参加する割合が少なくなっている。

 Browne氏は、「10代にとってはソーシャルコンピューティングが、すでに当たり前のものとなっている。企業は、こうした現状を正しく把握し、消費者との新しい関係を築くことが重要になる」と話し、いくつかの事例を紹介した。

 たとえば、米国のブロガーであるDan Entin氏は、Unileverのスティック型のデオドラント「Degree Sport」が近くの店で買えなくなったことをブログに書いた。するとUnileverの社員がこの書き込みを見つけ、販売している店を連絡すると共に、商品を1ケース届けた。これによりEntin氏は、Unileverのサポーター(Brand Advocate)になったという。

 「自社でソーシャルコンピューティングを実現できないとしても、必ずブログモニターなどのツールを使ってモニターは行うことだ。良い書き込みはもちろん、悪い書き込みもあることを肝に銘じて取り組まなければならない。この対応しだいでは、企業は良くも、悪くも評価されてしまう」(Browne氏)

 Loreal Parisでは、マーケティング部門の担当者が、Claireという架空の人物をになりすましたブログを公開した。しかし偽物であることがばれてしまい批判が集中。同社はすぐにそのブログを閉鎖し、別のウェブサイトで謝罪。新たに5人の一般消費者に製品を試してもらい、その結果をブログに書いてもらうことにした。これにより、同社は信頼を回復することができたという。

 日本では、三菱東京UFJが「mixi」にコミュニティを開設。1200名以上が参加しているが、mixiが匿名でも参加できるSNSであるために誹謗中傷などの無責任なコメントが書き込まれることもあるという。また、日本興亜保険グループでは、同社の退職者向けコミュニティサイトを開設し、300名以上がコミュニケーションを行っている。

 「企業にとって、ソーシャルコンピューティングの正しいやり方は存在しない。失敗は必ずあるので、まずは小さなプロジェクトからスタートすることが有効になる」(Browne氏)

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