笹本氏は、Googleを例に挙げ、「欧米は能動的に検索する習慣があり、ボックスにワードを入力するのが得意」とする一方で、日本人には受動的に、探したい情報を検索できる仕組みが向いていると見ている。「日本と欧米のサーチの習慣は違います。マイクロソフトは、より日本人に適した検索システムとして『コンテクスチュアル サーチ』に注力し、新しい検索の可能性を提供しています」(笹本氏)
このコンテクスチュアル サーチは、検索キーワードをボックスに入力するのではなく、閲覧中のテキストにマウスオーバーすることで検索できる仕組みだ。ポップアップウィンドウを表示して、ページ遷移せずに関連情報を調べることができる。この方法のメリットは、ユーザーが特別なアクションを起こさなくても検索でき、サイトの編集者が紹介する以上の深みを提供できる点だ。すでに驚異的な高さのクリック率を記録しているという。笹本氏は、コンテクスチュアルサーチのような、編集と技術を融合したサービスを提供することで他社との差別化を図りたいと述べた。
マイクロソフトは技術力、All Aboutは「人系サイト」として多くの専門家によるコンテンツ力を持っており、それぞれ立ち位置が異なる。そこで、モデレーターの坂本氏は、「技術の進化で情報のデータベース化が進み、従来型メディアがいらなくなる」という考えがある一方で、「メディアが多様化したことで何をどの媒体に載せるか、検索エンジンが見つけてきたものだけでなく、目利き、あるいは編集価値が増す」という考え方もあるのでは、という質問を両氏に投げかけた。
All Aboutはメディアを設計するときに分野を大きく分けているという。「『住宅』『お金』『健康』などプロの情報が必要な『プロ領域』、グルメや旅行などプロ・ユーザー問わず体験情報が重用される『体験領域』、そしてコンテンツそのものを楽しむ『エンタメ領域』など、メディア設計の段階で領域、利用シーン、利用目的、編集とCGMの良さを組み合わせて考えていけばいいと思います」(江幡氏)
マイクロソフトは、2つのサービスを使い分ける。同社は情報提供にもロングテールの構図が当てはまると考えており、ヘッドの部分はポータルサイト「MSN」のマス向けコンテンツで、テールの部分は「Windows Live」のカスタマイズされた情報で対応していくと笹本氏は語った。
また、同氏はマイクロソフトがミドル部分に弱いことを認め、それを補えるのは、All Aboutのような専門家によるオススメコンテンツではないかと述べた。
ディスカッションの最後に、モデレーターの坂本氏が両氏に今後のビジョンを訊ねた。
「人生、生活そのものがサーチだ」と述べていた笹本氏は、そのコンセプトを活かした次世代のマルチタッチを採用したテーブル型PC「Microsoft Surface」のサービスを紹介した。「映画に出てきた世界が現実になる」といいながら会場に動画のデモで操作性を説明した。同氏によれば、年末には発売できるという。
「これが市場に出てくると、インターネットの世界が日常のライフスタイルの主軸になる。しかもマイクロソフトのすごいところは、これを何百万円の商品でなく、何十万という価格で提供できること。マスに訴えられる技術力を持っている」(笹本氏)
映画で見ていたような世界が現実の世界で実現し、年末に市場に出る。例えば音楽プレイヤー「Zune」をSurfaceの上に置くと、そこに入っている楽曲情報が端末上に表示される。将来的にはiPodにも対応し、2台のiPodを置いて楽曲をシェアするといった操作を画面上で視覚的に行えるようになる可能性もあるという。
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