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基本的な設定が完了したら、まずはファイルサーバーとして活用してみよう。一般的にLinuxとWindowsでファイル共有をする場合、「Samba」を利用することが多いが、LAN Tankは標準状態でSambaがインストールされておらず、代わりにWebDAVサーバの「akaDAV」がインストールされている。そのため、Windowsの「マイネットワーク」にLAN Tankのアイコンは表示されないので、LAN Tankにアクセスする場合は、マイネットワークの「ネットワークプレースを追加する」を選択し、ウィザード画面に従い接続先に「http://<LAN TankのIPアドレス>:8080/share/」と入力しよう。
ウィザードでの設定が終了すると、マイネットワーク内にフォルダが表示されるので(画面3)、フォルダを開き、LAN Tankにファイルを保存すればよい。ファイルの読み書きは、通常のフォルダと同様にファイルをドラッグ&ドロップするだけでOKだ。なお、LAN Tank内のそれぞれのフォルダの意味は下記の表の通りとなっている。
ftp | FTPサーバ用フォルダ。FTPクライアントからアクセスすると、このフォルダにアクセスする。 |
htdocs | Webサーバ用フォルダ。Webサーバを公開する場合は、このフォルダ中にファイルを保存する。 |
movies | 動画用フォルダ。ここに保存する。 |
others | その他のファイルを保存するフォルダ。 |
sounds | iTunesからアクセスするファイルを保存する。 |
usb | LAN Tankの背面のUSBポートに接続したドライブはこのフォルダ内表示される。 |
ファイルサーバとして利用するならakaDAVでも特に問題はないが、LAN Tankに保存したファイルをアプリケーションから直接読み書きしたい場合は、WebDAVに対応したアプリケーション(Microsoft Office2000以降等)でなければファイルにアクセスできないため不便だ。対応していないアプリケーションの場合は一端ローカルのHDDにファイルをコピーしてからファイルを開くという手間が発生してしまう。やはりここはローカルドライブと同様にファイルの読み書きができるSambaをインストールしたいところだろう。
LAN TankはOSに「Debian GNU/Linux」を採用しているため、apt-getコマンドを利用すれば簡単にSambaのインストールが可能だ。
ここではapt-getを利用したSambaのインストール方法の解説は行わないが、apt-getの使い方やSambaのインストール方法を記載したWebサイトは数多くあるので、それらを参考にSambaのインストールをしてみるといいだろう。Sambaをインストールすれば、ネットワークドライブとして通常のドライブのようにファイルを扱うことができるほか、akaDAVよりもファイルの転送速度が速いのでサイズの大きなファイルもストレスなく扱うことができるようになる。
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ここまではLAN Tankを一般的なNASとして紹介してきたが、ここからはLAN Tankの最大の特徴ともいえるメディアサーバー機能を紹介しよう。
まずは、LAN Tankの一番の魅力とも言える、iTunesとの連係機能から紹介していこう。こちらはMP3ファイルをLAN Tankのmusicフォルダに保存するだけで、LANに接続されているPCのiTunesにファイルが表示されるという便利な機能だ。
iTunesは自動でLAN Tankをサーバとして認識するため、ユーザーは特に設定をする必要がなく、ローカルのHDDに保存したMP3ファイルと同様にiTunesでLAN Tankに保存した音楽を再生可能だ(画面4)。
LAN Tankに保存したMP3ファイルのID3タグの文字コードがShift JIS形式で保存されているとiTunesで表示したときに曲名等が文字化けをしてしまう(画面5)。この場合は、一度iTunesのライブラリにMP3ファイルを登録した後「IDタグを変換」メニューからIDタグバージョンをv2.4に修正した後、再度LAN Tankにファイルを転送すれば文字コードがUTF-8に変換されるため正しく表示される。
また、パワーユーザーであればLAN TankでiTunesのサーバ機能を提供している「mt-daapd」に「Shift JIS/UTF-8両対応パッチ」を当ててリビルドすることで文字化けを回避することも可能だ。
次にネットワークメディアプレーヤーのサーバとして活用できる機能を紹介しよう。
LAN Tankのmovieフォルダに保存したMPEGファイルやAVIファイル、JPEGファイルなどはアイ・オー・データ機器製「AVeL LinkPlayer」をはじめ、バッファロー製「LinkTheater」、バーテックスリンク製「MediaWiz」などのネットワークメディアプレーヤーで再生が可能だ。通常これらのプレーヤーでムービーを再生するには、PCを立ち上げて付属のサーバソフトを起動しなければならないという手間がかかるが、LAN Tankならばmovieフォルダにファイルを保存しておけばいつでもファイルが再生可能という手軽さだ。
なお、soundsフォルダに保存した音楽ファイルはiTunesだけではなくネットワークメディアプレーヤーからもアクセス可能だ。
LAN Tankの背面にあるUSB2.0ポートには、USBマスストレージクラスに対応した外付けHDDを接続できる。LAN TankはRAID 1でHDDのミラーリングができるとはいえ、人為的に誤って削除してしまったファイルは復活できないので、重要なデータは定期的に別メディアにバックアップするという作業が必須だろう(ちなみに、LAN TankではRAID 1構成のHDDがどちらかクラッシュした場合のリカバリーソフトなどは提供していないため、復旧にはLinuxの知識が必要だ)。
とはいえ、数百GBもあるLAN TankのデータをDDSテープやDVD-Rなどのメディアにバックアップするのは非効率なため、大容量の外付けHDDにバックアップをとるというのが現実的な選択肢ではないだろうか。
LAN Tankに接続するHDDは、ファイルシステムがFATもしくはFAT32であればそのままマウントできる。そのため、Windowsで利用している外付けHDDがそのまま利用できるのは嬉しい点だ。ただし、NTFSでフォーマットしたHDDは接続できないので、Windows 2000やXPで利用している外付けHDDを接続する場合は事前にファイルシステムを確認しておこう。
なお、Windows 2000やXPは32GB以上の領域をFAT32でフォーマットできないという制限が存在している。Windows 2000やXPで32GB以上の領域をFAT32でフォーマットする場合は市販のパーティーションユーティリティーソフト等が必要だ。
以上のように、LAN Tankは癖がありなかなか手強いが、使いこなせればこれほど面白いLinux BOXはない。OSをインストールしたデフォルト状態でも音楽サーバやムービー配信サーバとして十分に活用できるが、LAN Tankをハックした情報を掲載している個人サイトもあるので、それらを参考に独自にカスタマイズしてみるのも楽しいだろう。
挑戦者のWeb通販サイトでは、LAN Tankをハックして楽しむユーザーのために、シリアルコンソールケーブルを別売りしている。
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