「ベンチャーだからこそできる」--1チップの音声合成LSIは新市場を切り開けるか - (page 2)

 アクト・ブレインは、基盤や半導体関連装置、フラットパネル関連装置などを開発している企業。創業者であり代表取締役である山崎氏は、これまで液晶関連装置のエンジニアとして活躍してきた。しかし自分の勤務先の規模が拡大するにつれて逆に自分の果たすべき役割がどんどん狭くなっていくように感じ、アクト・ブレインの創業に至ったという。

 音声合成LSIはまだ市場が小さいことから大手では参入しづらい分野であり、ベンチャーだからこそできると話す。

 サンプル基盤はUSBをインターフェースに使用しているが、Bluetoothなどさまざまな通信手段に対応する。ワンチップ化によるスペースの自由度も高いため、想定外の分野で採用される可能性も大きいとのことだ。

 確かに、声を出力する機器は想像以上に多い。コールセンターなどの自動応答システムではユーザーが入力した数字などを確認するために音声で読み上げるし、民生機器ではカーナビのアナウンスが代表的であろう。カーナビであれば、交差点名などの変更にも素早く対応できる。レジでも単に「ピッ」という音だけでなく、金額などを読み上げてくれた方がユーザーには親切だ。また、刻々と移り変わる株価などの数値を読み上げてくれれば、数字を画面で確認することなく状況を把握できる。ほかにも、工場で機械にトラブルが起きた場合、ブザーが鳴るかわりにどんな問題が起きたかを読み上げてくれれば問題の早期解決に役立つ。

 これまでは決まった文言しか再生できなかったために、音声合成に対するニーズは少なかった。逆に言えば、ニーズはあるのにソリューションがなかったということだ。

 「1〜2年かけて需要を喚起し、市場を作っていくことができればと考えています」(アクト・ブレイン山崎氏)

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