だが、マイナス要因もある。人気のある曲には、デジタル著作権管理(DRM)システムを採用せずにオンラインで販売されているものはあまり多くない。DRMは、大量配信や違法な再利用を防ぐためのシステムで、DRMで保護された楽曲は、MixTapeなどのウィジェットを通じて販売することはできない。このため、たとえばR.E.M.の曲とU2の曲を一緒に入れようとしてもできないので、音楽ファンのMixTapeに対するニーズがしぼんでしまいかねない。
ただし、DRMに対する姿勢が大手レコード会社の間でも変化しつつあると見られる1つの徴候がある。それは、EMI Musicが最近「iTunes」での取り扱いを皮切りに、DRMフリーの楽曲販売を開始したことだ。この傾向が続けば、MixTapeなどのウィジェットがより多くの音楽ファンの間で流行する可能性があると、McQuivey氏は話す。
これまでにGoodStormは、独立系アーティストやレコードレーベルの曲270万曲を集めたミュージックストアを開設した。これらの曲は、IODA、CD Baby、IRIS、The Orchard Enterprises、INgrooves.comからライセンス供与を受けており、人々が合法的に販売できる。
システムは、次のとおりだ。まず音楽ファンは、GoodStorm Musicで無料アカウントに登録する。承認されれば、最大100曲まで収めたMixTapeを好きなだけ作成できる。MixTapeには、GoodStormのコレクションや、自分が個人的に制作した曲や著作権を有する楽曲から自由にアップロードして収録できる。こうしてできあがったMixTapeは、どのウェブページに追加してもいい。このMixTapeから誰かが曲をダウンロード購入したら、売り手である音楽ファンには1曲あたり5セントが入ることになる。楽曲の売買には、PayPalのシステムが用いられ、暗号化はVeriSignが行なう。したがって、ページを訪れた人が、GoodStormコレクションの曲が10曲入ったアルバムを購入すれば、売り手には50セントが手に入る。
しかし、これに比較して、アーティストや著作権所有者が受け取る金額は驚くほど高い。GoodStormが管理する楽曲は、アーティストあるいはレコードレーベルがアップロードしている。誰かがあるMixTapeから曲を購入すれば、アーティストまたは著作権所有者は、1曲につき65セント、つまり10曲入りの標準的なアルバムなら6.5ドルを受け取ることになる。同じ1曲のダウンロードで、MixTapeを作ったファンが受け取る売り上げは5セントだ。
GoodStormは、同社ウェブサイトから、アーティスト、レーベルおよびファンに対してリアルタイムで販売数と売り上げの結果を提示している。同社は、MixTapeのテクノロジに関して特許を申請中で、1曲売れるたびに29セントを受け取る。さらにGoodStormは、チケットや商品に加えて広告も販売する計画だ。
GoodStormの共同設立者Yobie Benjamin氏は、「この技術は、ファンや小規模のレーベルが利用する場合は無料だが、Warner Music GroupやEMI、Sony BMG Music Entertainmentなどの大手音楽会社には無料ではない。われわれはこうした企業がこの技術のライセンス契約を結ぶことになると見ている」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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