Microsoftのライセンス担当バイスプレジデントを務めるHoratio Gutierrez氏は、取材の中で、同社が主張しているオープンソースソフトウェアによる特許侵害について、「偶発的なことではない」と述べている。侵害行為は意図的だという証拠としてMicrosoftは、Richard Stallman氏による2006年の発言を挙げている。Stallman氏は、フリーでオープンソースのソフトウェアを目指す運動で、知的および法的な枠組みの大部分を独力で築き上げた人物だ。
しかし、Stallman氏は発言の中で、どこに問題がありそうかを詳しく分析しているわけではないし、確定したこととして問題を認めたわけですらない。同氏が言及しているのは、知的財産権侵害訴訟から身を守るための保険を販売する新興企業、Open Source Risk Management(OSRM)の資金で実施された2004年の調査についてだ。「2年前の徹底的な調査では、Linuxが合計283件のさまざまなソフトウェア特許を侵害していることがわかった。もちろん米国内だけでの話だが、おそらく現在までにその数は変化し、もっと増えているだろう」と、Stallman氏は述べている。
特許侵害を指摘されることと、実際に民事訴訟で特許侵害が明らかになることには、大きな隔たりがある。そして、米連邦最高裁判所が最近示した判断によると、その隔たりはさらに大きくなりそうだ。
4月に全会一致で下した判決で最高裁は、自明の技術に対する特許を排除するための、より高い基準の設定を求めた。「真の新しい要素がない、通常のプロセスで生まれた技術進歩に特許による保護を与えることは、進歩を妨げる危険性がある。さらに、既知の発明要素を組み合わせた特許の場合は、これより先に発明されたものの価値や有用性を損なうおそれがある」と、最高裁は述べている。この判決により、特許の妥当性への異議申し立てがこれまでより容易になる可能性があるし、それ以前に特許を取得すること自体のハードルが上がるかもしれない。
Microsoftは同社の特許が確固たるものだと信じている。同社は「当社の特許ポートフォリオは、特許の質および技術上の連関において高い得点を獲得している」として、特許関連の調査企業Patent Boardによるコンピュータ企業の特許スコアボードで2位にランキングされていることを指摘する。
最高裁の判決は、ソフトウェア関連の特許の質に不満を述べていた人たちにとって良いニュースとなった。その技術が「真の新しい要素を有し、まったく自明ではなく、本当に有用」であることを保証するために、特許の質を向上させることは、CCIAによる特許改革計画の主要部分となっている。
Sun Microsystemsの筆頭弁護士Mike Dillon氏は、同社が4月に2件のパテントトロール問題に遭遇したと述べた。一方、同氏は4月の最高裁判決がもたらす効果について、用心しつつも楽観的な見方を示している。Dillon氏は誤った特許侵害訴訟を「技術革新への課税」と呼んだ。
Sunの最高技術責任者(CTO)を務めるGreg Papadopoulos氏も、Dillon氏の意見に同調する。「ソフトウェアの特許が有用だろうか? 個人的に言えば、ほとんどノーだ。技術革新を最大限に発揮させつつ、個々の権利者に補償と派生的なものを作る力を与えるという点で、特許よりも著作権の方が概ね優れているように見える」
Torvalds氏はさらに率直だ。「特許の大半は価値のないものだ。そんなものを読むために時間を費やすなんてばかげている。特許を読んで権利を行使するかどうかは、特許の保有者しだいだ」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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