Google vs 2ちゃんねる?-- 純国産検索エンジンに本気のベンチャー - (page 2)

文:小林 ミノル 瀬井裕子(編集部)2007年05月14日 15時25分

「バグが出たら歯ぎしりして悔しがれ」

--いまのお話だと、検索技術を中心にビジネスをより拡充していくという印象を受けました。取材にうかがう前は、ラボっぽい会社を想定していたんですが、今後は事業を拡大していく予定なんですか。それから、何か面白いことを継続してやり続けようとすると、技術や意志のほかに、どうしても資金の問題が出てくると思うんですが、どのような解決策を考えていますか。

深水:好きな事をやってるから、ビジネスにならないってことにはならないですよね。もしならなさそうなら、それをみんなでアレンジして商売にすればいいだけで。それにもともとみんなの発想が、ビジネス向きですしね。

竹中:立派な体勢を整えてコケちゃったらイタいじゃないですか。僕ら技術者の場合は、面白そうなアイデアを考えて適当にやって、ダメだったらそのままフリーズさせたり、趣味の領域に入れてしまうことも可能なわけです。その辺に、ラボっぽい領域が残っているかもしれません。

 でもやっぱり、世界に通用するような検索エンジンサービスをきちんと育ててらればいいなと思っています。愛国者でもなんでもないですけど、グーグルにやられっぱなしでしょ。なので、もっと技術者は増やしたいです。粘り強い人、執念深い人、バグが出たら歯ぎしりして悔しがる人を募集しています。

深水英一郎氏深水英一郎 「未来検索ブラジル」代表取締役。日本のメルマガサービスのパイオニアとなった「まぐまぐ」開発者。ネットアーティストが制作した作品のプロデュースなども手がけている。

深水:ただちょっと楽観的すぎる気もするけどね。好きな事やったらお金ついてくると本気で思っているから。これから先はわからないよ。

竹中:そうだった。やりたい事がどんどんでかくなっているから。

--では、コアとなる技術部門を固めてから、営業部門もゆくゆくは整えていくと。

深水:そうですね。ただ、今後、営業チームを入れたとしても、開発部門とバッティングしちゃう可能性があるので、完全に会社を分けることも考えています。

竹中:未来営業ブラジル(笑)。

--この界隈の人たちって社内外や所属に関係なくつきあっている感じを受けるんですが、そのネットワークってどうなってるんですか。

竹中:インターネットの開発者の世界って狭いんですよ。「ブラジル」の場合は会社になりましたが、ノリが同じような人が集まって、「なんか一緒にやりましょうよ」というところから始まることが多いんです。

--ノリが一緒かどうかの判断基準はどこに。

竹中:あのね、金に汚くない人。それと一緒にご飯を一緒に食べたときに不快じゃない人。ホントにそういうことなんですよ!

深水:それって重要なことですよ。

竹中:事業を始めると、人間性や価値観に立ち入らないと、話をひっぺがせなくなることって多いんですよ。

 たとえば、資金が焦げ付いた場合、「今まで投資した1000万円をどうしてくれるんだ?」とか言われてしまうとイヤな気持ちになりますね。技術者は、動いているお金よりはるかに巨大な無償の投資を目に見えないかたちでしているわけです。「俺の無償の投資を、家賃代やマシン代なんかと天秤にかけるのか!」と。そういう人が必要だというのはわかるんですけど、微力ながら世の中を変えて行こうと思うときには、お金が最初にあるんじゃなくて、面白さが先にたつべきだと思うんです。

 ただし、それを実現するためにお金を使うってのはアリだとも思っています。たとえば上場企業ならフリーパスなのに、単なる有限会社だと、すごい変な審査とかあったりするわけですよ。高級レストランに半ズボンで入れないのと同じです。

--竹中さんは今日も半ズボンですが、実際にそんなことがあったんですか?

竹中:はい。なので「もしいま、総理大臣が半ズボンで来たら店に入れないのか?」って問いただしたら、「入れません」っていうから、仕方なく、僕のために集まってくれていた友人20人に、その店から出て来てもらって別の店に行ったんです。ただ、もう30代後半なので、そういうことはやめました。お互いに気の毒なことをしなければいけないんだったら、僕が長ズボンをはけばいんだと…。

--昔から、そういうロックな精神をお持ちだったんですか?

竹中:違いますよ。単に合理性がないものに対して嫌な気持ちがするだけです。

深水:でも無難に生きようとしてないよね(笑)。

--深水さんが今後やってみたいこと、この会社だったらできるんじゃないかということは何ですか。

深水:モリタポという通貨システムがせっかくあるわけだから、もっと有料コンテンツを盛り上げていきたい。ネットで文章を書いたりデジタルコンテンツを作る人たちって、稼ぐ手段がまだなかなかないんです。「ブラジル」の技術や力があれば、デジタルコンテンツを有料で使ってもらえるシステムができるんじゃないかと思っています。

--ここまで無料コンテンツが広がってしまうとなかなか難しそうですが。

深水:有料コンテンツって出す方がびびっているだけで、意外といけるんです。有料化を検討しつつ足踏みしている他社にも踏ん切りをつかせられるような、意外なサービスをつくりたいですね。

--会社HPには実際にブラジルに行くブラジルツアーも事業計画に入っていますが、いつ頃行かれる予定なんですか?

深水:ひろゆきの熱が冷めたみたいで言わなくなったよね。

竹中:リオのカーニバルが終わったからかな。僕だけ行ってこようかな。『未来世紀ブラジル』のモデルになった首都のブラジリアには行きたいんですが、そこって何もないみたいなんですよね(笑)。

ブラジルオフィス廊下左側にサーバルーム、右側に会議室が並ぶ。

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