オンライン犯罪に専門対応する「インターネット警察」

佐々木 朋美2007年05月07日 17時51分
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 自他共に認めるインターネット大国である反面、オンライン上の犯罪や不法行為などに頭を悩ます韓国。最近では、未成年者がポータルサイト上にポルノ映像を数時間に渡って掲載したり、国内外の海賊版動画をインターネットで大量流出させる組織が検挙されるなど、事態は深刻化する一方だ。

 情報通信事業法に基づいて設立された民間団体である情報通信倫理委員会(情倫委)によると、同委員会がわいせつな画像の流布や言葉による暴力、名誉毀損といったインターネット上の不法や有害情報に関して受けた報告数は、2005年が9万8713件、2006年が12万9572件となっており、「年々増加傾向にある」という。

 こうした事態に対し韓国政府では、インターネット被害専用の電話を設けたり、インターネット専用の警察を配備するなどして不法行為の防止にあたっている。

 韓国政府の情報通信部では4月末、インターネット上の不法有害情報専用の通報番号「1377」を発表した。これまでにも「3415-0112〜4」という専用番号があったのだが、これでは長すぎるので簡単に覚えられる1377番を追加した。インターネット上でわいせつ動画や詐欺行為などを見つけたら、警察に通報するのと同様にこの番号に電話をする。警察と同じく24時間体制となっているので、深夜の犯行にも対応可能だ。

 この番号でネチズンからの通報に対応しているのが、情倫委が運用する「不法・青少年有害情報申告センター」(申告センター)だ。ここに通報された情報は、警察庁やポータルサイト、各種ウェブサイトなどに即刻知らされ、該当情報の削除やID停止、場合によっては刑事告発などさまざまな処置が行われる。

 申告センターの仕事は不法有害情報電話の応対だけではない。1997年からは「サイバーパトロール」というボランティア組織を結成し、インターネット上のモニタリングを継続して行ってきているほか、2002年からはウェブサイトを通じての有害情報の通報も受け付けている。こうした活動により、オンライン上の不法行為を未然に防いだり、これまで泣き寝入りだった被害報告が多く行われるようになってきている。

 さらに警察でもオンライン上の犯罪取り締まりに本腰を入れている。警察庁では1995年から、インターネット上の事件を捜査、解決するサイバーテロ対応センター」を運用している。当初は「ハッカー捜査隊」という名称だったが、インターネット犯罪の多様化にともない、ハッキングだけでなくウイルス流出、決済関連の詐欺事件、名誉毀損問題など、ほぼすべてのインターネット上の犯罪捜査に取り組むようになった。

 冒頭で紹介している海賊版映像大量流出事件や、ポータルサイトへのポルノ映像流出事件なども、同センターが捜査し犯人の割り出しに成功している。また悪質な書き込み問題が深刻化している2007年は、次期大統領選挙が行われる年でもあり、事件の未然防止にも神経をとがらせる。インターネット上で対立候補を揶揄する書き込みで世論を煽る不法選挙運動を防ごうと「サイバー犯罪捜査専門担当チーム」を、従来の521人から750人にまで増強している。

 そんな警察庁で2007年3月、サイバーテロ対応センターの新ブランド「サイバーコップ NETAN」を立ち上げた。NETANは、Internetの「NET」と、「安」や「眼」(いずれも韓国語読みで“AN”)を組み合わせた言葉で「サイバー世界の安全、安息を守る眼」という意味を持っている。オンライン捜査も活発に行っている警察の活動を広く知らしめる目的で立ち上げられたブランドで、広報大使に人気俳優を起用するほどの力の入れようだ。

画像の説明
「サイバーコップ NETAN」のイメージキャラクターの、ナム・サンミさん(左)と、デニス・オさん(右)。NETANの広報活動にあたっていく。
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