Rattner氏によると、Intelは中国でもチップを製造する計画だが、中国で次期プロセッサデザインが誕生する見通しは低いという。
同氏は、「大連工場の発表は確かに中国での事業拡大を示唆するものだが、われわれとしてはマイペースで進める構えだ」と語っている。
そこには、中国の教育制度が米国の大学システムと同等の基準に達していないなどの問題もあると、Rattner氏は語っている。Intelが中国で採用した博士号取得者は、同社の米国で教育を受けたエンジニアと同等レベルの専門知識を持ち合わせていないという。
Rattner氏によると、何人ものエンジニアが米国留学後に中国に戻ってIntelの研究所で働いているという。だが、中国のコンピュータサイエンス課程が米国と同等レベルに達するまで、Intelの中国研究拠点拡大は大きく進まないだろうと、同氏は語っている。
Intel Chinaの社長であるTan Wee Theng氏によると、Intelが取り組んでいるのがこの部分だという。同社は、同国の科学技術教育関連の大学教育制度に膨大な時間と予算を投入して協力を進めている。
Intelは、大連の工場建設計画を発表した際、地元の大学と共同で電子工学やコンピュータサイエンスを重視する教育課程も同時に開設したという。
Intelの研究開発は、インドの方が積極的だ。80コア試作プロセッサの設計作業の大半はバンガロールで行われており、「Whitefield」と呼ばれるプロセッサデザインを実際に設計したのはIntel Indiaだった。同デザインが日の目を見ることはなかったが、これは2008年に「Nehalem」世代のプロセッサで採用予定の設計原理に基づくものだった。
また、イスラエルにあるIntelのチップ設計拠点がこの10年間で同社の事業改善に果たした役割も非常に重要だ。
2000年代に入ってから、オレゴン州にある同社の研究所は、その開発パスで高速なシングルコアプロセッサの開発に力を注いでいた。しかし、発熱の問題を受けてIntelはパフォーマンス向上に向けた代替案の模索を余儀なくされ、同社イスラエル研究所からその解決策が登場した。これが「Banias」デザイン、つまり「Pentium M」だった。
それでも、Rattner氏はIntelの中国拠点の成果に感心している。事業をさらに拡大することも可能だが、前述のような問題や、最先端チップ製造技術の中国持ち込みを禁じる輸出規制により、重要なプロジェクトの大半は同国進出が当面困難だろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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