CCDを小さくすれば、その手前にある光学系も小型化できる。こうした発想で、本機では1/5型の超小型CCD(有効画素数53万画素 16:9プログレッシブスキャン)を新開発している。このCCDを3枚使用し、斜め画素ずらし機構によって1920×1080ドット・プログレッシブ映像を撮影、これをインターレースに変換することでフルHDムービーの撮影を実現している。
CCDが小面積なので感度的には不利だが、最新の設計によってCMOS並みの飽和特性が確保され、明暗のレンジは比較的広い。
HDムービーでは、高画素CCDやHDエンコーダーが電力を必要とするため、省電力化が課題となる。電子式の手ブレ補正は、CCDの撮像エリアの外に手ぶれ補正エリアを設ける必要があるが、その分だけ画素数が増えて消費電力が上がってしまう。このため、本機ではCCDの画素を撮像用に限り、手ぶれ補正は光学式を採用している。
レンズには、放送局向けで実績のあるFUJINON製のFUJINONレンズを採用。以前の3CCDムービー「GZ-MG505」でもCCD前段にFUJINON製プリズムを採用していたが、今回はレンズにもFUJINONを採用している。非球面レンズや高屈折率高屈折ガラスを用いて、ズーム倍率は光学10倍(F1.8〜1.9)と望遠端でも明るい高性能レンズだ。
起動は数秒と早く撮影チャンスを逃さない。液晶モニターの開閉が電源オン/オフと連動するのもEverioシリーズの伝統で、フットワークが良い。フルオートでは画質モードを選ぶだけでHDムービーが撮れる。
画質は3つのモードが用意されている。FHDモードは1920×1080インターレースでVBR(可変ビットレート)記録の最高画質モード。SPモードは1440×1080インターレースでVBR、解像度とビットレートを下げて長時間のハイビジョン撮影ができる。
また1440CBRモードも用意されている。これは既存のHDV形式ムービーと記録方式を合わせて1440×1080インターレースでCBR(固定ビットレート)記録するモードだ。1440CBRでは、FHDより解像度は落ちるが、HDV形式であるために、i.LINK接続でパソコンに取り込んで編集がしやすい、というメリットがある。
撮影したムービーのモード変換はできないので、まず最初に編集や用途を考えて画質モードを選ぶ必要があるだろう。
操作系では、一般的なメニューボタンとGUI操作用の十字レバーのほか、機能別にマニュアル撮影用ボタンが設けられている。このため入門機と比べると、ボタンは多めだ。といってもGUIの奥に機能を詰め込んで一見簡単に見せているカメラよりも、実使用上の使い勝手は良い。特に絞り優先、シャッター優先撮影のしやすさはよく考えられている。
マニュアル撮影では、ホワイトバランスや露出の設定、シャッター優先モード、絞り優先モードなどを装備するほか、電子検出式のフォーカスリングでマニュアルフォーカスできるのが実用的でカメラらしい。
モニターをモノクロにして、ピントの合っている範囲の輪郭だけをカラー表示するフォーカス・アシスト機能や、ハイライトの飽和部分を縞模様で表示する露出確認用のゼブラ表示もマニュアル撮影で重宝する。音声記録は2チャンネルになるが、外部マイク接続用のマイク入力も備えている。
このほかシーン別のプログラムAEモードや、暗いシーンでのナイトアイ増感撮影、ズームでマクロ撮影ができるテレマクロも使える機能だ。
電子ビューファーはやや視野角が狭い印象だが、2.8型ワイド液晶は明るい野外でも認視性が高い。手ぶれ補正は弱めで、望遠端では細かいブレが気になった。フルHDをいかすために、もう少し手ぶれを抑えて欲しいが、意に反した船酔い的な補正揺らぎは感じられなかった。
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