デジタルIDカードの導入義務化に米国各州で反発の声 - (page 2)

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年02月27日 17時44分

 Real ID Actの下では、IDカードにひもづけられた集中型データベースが設置され、国民のプライバシーが脅かされる可能性がある、とHarper氏は指摘する。「仮にわれわれが政府発行のただ1つの鍵しか持っていなかったら、不正行為に対する罰則として・・・IDカード、身元確認、社会が提供するさまざまなサービスやインフラの利用権を失うことになる」(Harper氏)

 大統領検討委員会を開設したRon Paul下院議員(テキサス州選出、共和党)は米国時間2月25日、同僚議員らに対し、プライバシー権や市民の自由に対する尊重を欠いていると批判した。

 Paul氏は「これがワシントンの実態だ」とし、「そこには、法の支配も憲法に対する尊重もない」と語った。News.comの2006年版スコアカードによると、Paul氏は連邦議会議員の中で最もハイテクに理解のある議員とされている。

 2008年5月11日から、米国民はさまざまな場面で米国政府が管理するIDカードが必要となる(パスポートも用件を満たしている)。例えば、飛行機での旅行、銀行預金口座の開設、社会保障給付の受給、ほぼ全ての政府サービスの利用の際に同IDカードが必要になる。各州は、市民の身分証明書のチェックを義務付けられ、さらに自動車運転免許証も新たな要件を満たすために再発行が必要になる可能性が高い。また、各州の自動車データベースの相互接続も義務付けられる。

 間もなく導入される標準IDは、「電子的に読み取り可能である」ことが要件となる。この要件を満たすための手段として採用される可能性が高いのは、カードの裏側に政府機関や民間企業が読み取り可能な標準的な磁気ストライプを組み込む方法だ。もう1つの可能性としては、RFID(無線認識)チップの組み込みが考えられる。RFIDチップはすでに米国のパスポートに組み込まれている。

 Real ID Actの支持者らは、同法は同時多発テロに関する独立調査委員会(9・11委員会)の提案を実行に移すために制定されたものだと主張する。同委員会は、同時多発テロのハイジャック犯らは州の運転免許証を不正に取得したと指摘した。しかし、全てのハイジャック犯が免許証を不正取得したわけではない。少なくとも1人のハイジャック犯はその日、自身の外国のパスポートを見せただけで飛行機に乗り込んだ。

 元弁護士で9・11委員会メンバーのJanice Kephart氏は、23ページに及ぶ報告書は26日にリリースした。その報告書では、Real ID Actを「国家安全、経済安全や国民の安全を強化する重要なステップ」だとして擁護している。Kephart氏は現在、9/11 Security Solutionsのプレジデントを務めている。

 Real IDの要求を断る州は、「安全なアメリカに進路が向かっていない」と報告書は述べる。さらに、同報告書では「州が発行する(IDカード)システムにIDセキュリティを組み込むことは、Real IDの要件を満たす重要な計画となる。また、『非インターネットの』新興企業の準備資金に対する重要な財源にもなる。議会は進んで物事に取り組み、個人証明書の安全を国家的優先課題にするべきだ。われわれ国民はこれを受けるに値する」と述べている。

 26日にはまた、ワシントンD.C.で2日間に渡るカンファレンスが始まった。このGovernment ID Technology Summitカンファレンスには、ミシガン州、メーン州、マサチューセッツ州などの州から政府関係者が参加し、Real ID ActとデジタルIDについて議論している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ

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