Bromberg氏は、「私がMP3製品に関連した企業だったら、間違いなく不安を感じるだろう」と語る。この点について、22日にAlcatel-Lucentに問い合わせたが、同社の関係者はコメントを控えた。
「Alcatel-Lucentは別の戦略を取る可能性もある」と語るのは、Finnegan Henderson Farabow Garrett & Dunner法律事務所のパートナーであるRobert Yoches氏だ。仮に他社を提訴したとしても、今回Microsoftが支払いを命じられた賠償額ほどの賠償金を獲得できる可能性は低いとAlcatel-Lucentが判断したとしたら、同社は他社を提訴しない可能性もある。なぜなら、その裁判で特許そのものが無効とされる恐れがあるからだ、とYoches氏は指摘する。
一方、他社を提訴することにより、さらに多くの賠償金を獲得できるとAlcatel-Lucentが判断した場合には、今回、裁判所がMicrosoftに命じた賠償額よりもやや低い金額で同社と和解し、その後、他社を追及する可能性がある。
「15億ドルも手にしたら、さらに多くの賠償金を獲得する方法を考え出すものだ」(Yoches氏)
理論的にはありうる。しかし、その可能性は極めて低い。Alcatel-LucentがMP3プレーヤーの購入者を提訴する可能性よりも、同プレーヤーの製造元企業を提訴する可能性の方がはるかに高い。
この点についてBromberg氏は、「特許権保有者が小売客を提訴することはまずありえない」とし、その理由として「顧客への販売により、特許権者の価値が創造されるからだ」と語った。
MP3技術の大部分は、独FraunhoferとAT&TのBell Labsの従業員らによって開発された。Bell Labsは1996年にAT&Tから分離独立した後にLucentの一部となった。2006年にAlcatelとLucentが合併し、Alcatel-Lucentとなった。
MicrosoftはFraunhoferに1600万ドルを支払ってMP3関連特許のライセンスを取得した。しかし、Alcatel-Lucentは、同社が保有する特許技術とMicrosoftがFraunhoferからライセンスを受けた技術とは異なると主張している。この点について、Microsoftは異議を唱えている。
確かに金額の差は大きいが、Bromberg氏によると、前例がないというわけではないという。「特許所有者がライセンス契約を介して前面に立ってやろうとしていることと、被告側が『料金を支払うつもりはない』と言った場合に回収できることの間には、大きな隔たりがある場合がある。そのため、特許所有者は訴訟プロセスにもっていかなければならない」(Bromberg氏)
Bromberg氏は例として、Research In Motion(RIM)とNTPの訴訟事例を挙げた。ここでは、RIMが当初和解しようと持ちかけられたのを無視したために、最終的に6億1200万ドルの和解金支払いを命じられている。
MP3を利用している企業はたくさんある。有名なところとして、Apple、Yahoo、IntelやTexas Instruments(TI)などの半導体メーカー、Thomsonなど。Appleは、「iPod」端末と「iTunes」ソフトウェアでMP3をサポートしており、Yahooもオンライン音楽サービスで利用している。IntelとTIもライセンスしているし、Fraunhofer技術のライセンスを管理しているThomsonも、複数の企業にMP3をライセンスしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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