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IT企業を揺るがす「バックデート事件」--S・ジョブズ氏はなぜ擁護されるのか?

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:DNAメディア2007年02月14日 20時05分
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 ストック オプションの不正な「バックデート」操作を告発された数百社。対処方法もさまざま、定石はないようだ。

 セキュリティソフトウェアメーカーMcAfeeなどの企業は、最高経営責任者(CEO)をはじめとする最高レベルの経営陣に退陣を求めた。バックデートによって金銭的利益を得たこと、または不法行為をしたという事実を彼らが認めていないにもかかわらずだ。一方、Appleのように正反対のアプローチをとった企業もある。AppleはCEOであるSteve Jobs氏のバックデート行為を擁護し、連邦当局の調査の成り行きを見守る作戦に出た。

 どちらのアプローチが正しい、あるいは間違っているのだろうか。コーポレートガバナンスの信奉者ならば、McAfeeをはじめとする企業(News.comを運営するCNET Networksも含む)が株主にとって正しい行いをしたと言うだろう。しかし、現実主義者は別の見方をするかもしれない。「CEOの中には不当に会社を追い出され、経歴を傷つけられた者もいる。そして、一般の人々は企業内部で実際に何が起こっているかなど分からないのだから、彼らを裁こうとするのは間違っている」と。

 最近の報道によれば、米証券取引委員会(SEC)ですら、このスキャンダルに関与した企業や経営陣に対してどのような刑罰を科すべきかを決めかねているという。法に触れるようなことをしている、またはその行為が違法すれすれだということを認識していた幹部もいるだろうが、後でこのような不正会計トラブルがわが身に降り掛かってくるとは考えもしなかった人々も、やはり存在する。

 また、現実主義者は、どうしても殺さなければならない状況でなければ「金のガチョウ」は生かしておくべきだとも言うだろう。Appleに金の卵をもたらしてくれるガチョウはJobs氏だ。そしてあらためて言うまでもなく、株主の利益になるように行動することは、同社取締役会の使命なのである。

 「Appleにおける成功の方程式には、Steve Jobs氏が常に含まれている。彼がAppleを去れば、同社の未来を信じる人はほとんどいなくなる」と、ヘッドハンティング企業Christian and TimbersのバイスチェアマンStephen Mader氏は語る。

 Appleのストックオプション付与におけるバックデートの実態は、現在米連邦捜査局(FBI)が調査中だ。これまでに、CNET Networksを含む数百社が同じ問題で捜査を受けている。ここでは、ストックオプションを付与する際に、実際に付与した日よりも株価が低い日にさかのぼりそれを付与日として設定することにより株の売却益を増やす、「バックデート」と呼ばれる行為が問題とされている。

 Mader氏は、確かに意見の分かれるところではあるが、理論的には、この行為を会計に計上して内容を開示すればバックデートも違法ではないと言う。Appleの発表では、Jobs氏は有利な付与日が選択された事実を認識しており、いくつかの具体的な日付も認めているということだった。しかし、同社の取締役会と社外弁護士による調査では、Jobs氏は、バックデートにより利益を得ていないこと、また、同行為が会計処理上どのような意味を持つのかも知らなかったことが判明した。

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