なお、航空システムには航空管制官が欠かせないが、非営利で運営されるVatSimにはこの役割も存在する。実際、パイロットと航空管制官を兼任するユーザーは多い。
VatSimはリアルタイムのシステムなので、例えば、サンフランシスコからニューヨークへのフライトシミュレーションには数時間かかる。また、フライトの間に管制区域をいくつか通過するが、スタッフも管制区域ごとに異なる。
オレゴン州ポートランドに住む24歳のITマネージャー、Tim Krajcar氏は、1回数時間は航空管制官として太平洋岸北西部を取り仕切り、VatSimのパイロットに快適なフライトを提供している。
「VatSimの航空管制の重要な任務は実世界と変わらない。同じ高度で同時に同じ場所に向かう2つの航空機が衝突しないよう、セパレーションサービスを提供することだ」とKrajcar氏は説明する。
管制官はバーチャルパイロットに対し、接近情報や天候情報を提供し、時には操縦方法を教えたりもする。
VatSimで通信担当バイスプレジデントを務めるRuth McTighe氏によると、同ネットワークには13万弱のアカウントが登録され、アクティブユーザーは1万人以上だという。VatSimの設立は2001年。前身となるネットワーク「SATCO」における内紛の結果、アメリカ人メンバー中心のVatSimと、ヨーロッパ人メンバーを多く持つ「International Virtual Aviation Organization(IVAO)」という2つの競合するネットワークが誕生した。
しかし現在は、両ネットワークの参加者は世界中に存在する。また、より小規模なシステムもいくつか生まれ、人気を集めている。
バーチャルパイロットは、「SquawkBox」「FSInn」などのミドルウェアを使用して、各自が所有する一般向けフライトシミュレータからVatSimのネットワークに接続して、同サービスを利用する。フライトシミュレータは、「MSFS(Microsoft Flight Simulator)」シリーズが主流だ。同様に、バーチャル管制官は、別のミドルウェア製品でホームコンピュータからネットワークに接続する。
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