現状では安全問題に関して信頼できるデータがないため、カンファレンスに参加した専門家たちは、企業は製品開発のあらゆる段階で毒性試験を行うべきだと指摘した。さらに、新素材の開発においては、所管する連邦の規制機関や研究者と緊密に連携することを強く勧めた。
「新興企業にとって、環境や健康に関わる問題はビジネスの一要素などではない。その根幹に関わる問題だ」と、Foley & Lardner法律事務所のパートナー、Mark Mansour氏は述べている。
「わたしはこれまで、所管官庁との協議なしに研究開発や投資に信じられないような巨額をつぎ込む企業をいくつも見てきた。そして、金を費やした後になって、このような事業計画はうまくいかないと判明するのだ」(Mansour氏)
米国の規制当局は、健康や環境にナノ素材が与える影響について、さらなる研究を進めるべく予算を投じる予定だ。しかし現時点においては、この問題に関する法律や規格は一切なく、制定するにしても数年を要しかねない。
ナノテクノロジーの環境および衛生影響に関するワーキンググループ(Nanotechnology Environmental and Health Implications Working Group:NEHI)には複数の政府機関が参加し、現在は安全性調査における優先順位を示す文書を策定中だ。
米食品医薬品局(FDA)の科学担当副局長で同ワーキンググループの議長を務めるNorris Alderson氏によると、グループが最初に取り組む課題の1つはナノ素材の定義だという。
同氏によれば、ナノテクノロジーに関連した環境および健康の問題につぎ込まれる来2007年度の予算は、直接的なものだけでも4400万ドルにのぼるという。
Alderson氏は「われわれの最優先課題は、調査すべき5つの分野を特定することだ」と述べたが、具体的な勧告の公表時期については明言を避けた。
一方、Mansour氏は、ナノ素材は幅広い分野に応用可能なため、これらの物質が持っている潜在的な危険を評価する際には、個別の製品ごとに行う必要があると述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境