Web 2.0の流れは「消費者から企業へ」--進む「IT技術のコンシューマー化」 - (page 2)

文:Martin LaMonica(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、緒方亮、長谷睦2006年09月22日 22時12分

 しかし、The New New Internet会議に出席した技術専門家のパネリストからは、企業顧客のニーズは大幅に異なるとの反対意見も出た。企業は本質的に、個人からなるコンシューマーよりも状況が複雑だというのだ。

 Nexaweb Technologiesの最高経営責任者(CEO)のChristian Heidelberger氏は「消費者向けアプリケーションでは、必要とされるものが異なる。コンシューマー個々人が求めるのは、時間の節約と生産性の向上だ。これに対し、企業では集団としての生産性を向上させようとする」と述べた。Nexawebは、双方向的なグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を備えた、いわゆるリッチインターネットアプリケーションの構築ツールを開発する企業だ。

 さらにパネリストたちは、企業は、すでに導入されている個々のアプリケーションをどう統合していくかという厄介な問題を抱えていると指摘した。たとえば、顧客サポートシステムの情報をWikiに移管しようとすると、プログラマーによるコーディングや細々したメンテナンス作業が必要になる可能性がある。

 また、パネリストからは、Ajaxや「Flash」、Adobe Systemsの「Apollo」などの双方向ウェブプラットフォーム製作用フロントエンドツールを使うことで、今後は企業がバックエンドのデータにアクセスする際にも、より容易にウェブの標準や技術を使用可能になるとの声もあがった。

 一方、コンサルティング企業Sphere of Influenceの最高技術責任者(CTO)で、ブログ「Enterprise Web 2.0」の著者のDion Hinchcliffe氏は、現段階では、多くの場合ネットワークがダウンしてしまったら機能しないという点で、ホスティング型デスクトップアプリケーションなどのWeb 2.0アプリケーションには本質的な限界があると指摘した。

 しかし、Laszlo SystemsのCTO、David Temkin氏はこの意見に反論し、ホスティングアプリケーションはコンシューマー間に急速に浸透していると述べた。

 「ユーザーは、このような形で配布されるアプリケーションに慣れてきており、職場でも同じものを期待している。消費者市場で起きている現象により、こうした時代の流れも安心して受け入れられている」(Temkin氏)

問題は管理

 会議では、従業員がブログやマッシュアップサイトを通じて社外のウェブサービスと情報を共有できるようになると、企業ユーザーにとっては重大なセキュリティ問題の種になりかねない、と懸念する声も上がった。

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