YouTube幹部が同社の買収を否定している間も、このような数字に対する憶測は止むことがない。YouTubeは本記事に対するコメントを控えている。
YouTubeのビジネスモデルについては間違いなく多くの疑問が残されている。第1に、最高経営責任者(CEO)のChad Hurley氏によると、YouTubeは著しい収益をあげているというが、いまだに黒字への転換は報告されていない。
また同社には気がかりな訴訟案件が待ち受けている。ロサンゼルスのあるTVジャーナリストは、トラック運転手Reginald Dennyさん殴打事件を撮影した1992年の映像を、YouTubeが許可なく掲載したことで著作権を侵害したと訴えている。法律専門家らによると、多くのYouTube利用者が著作権で保護された作品を掲載していることから、これが高額な法廷訴訟につながる恐れがあるという。そして最後に、もしYouTubeが10億ドルと評価されたとすれば、そのような高値では同社を購入できる企業数が制約されることになる。
「本当に問題となるのは、どの企業の弁護士が、このような買収オファーの提示を認めるかだ」とSinnreich氏は言う。「YouTubeのブランド力と忠実な利用者ベースを持つサイトを構築することはほとんど不可能である。YouTubeは時限爆弾であるとともに、発掘間近の金鉱でもある。問題はどちらの規模が大きいかということだ」(Sinnreich氏)
他方でYouTubeの競合会社としては、さまざまな企業が、自社の技術、インターフェース、利用者、コンテンツのほうが他社より優れているとして張り合っている。
注意すべきは、全てのビデオサイトが同じ内容を提供しているわけではないことである。例えばGubaはビデオ共有だけでなく、デジタル映画のダウンロードも提供し始めた。Heavy.comとVeoh Networksは自前のコンテンツを制作している。これらのサイトはYouTubeやGubaと同類に扱われているが、完全に異なるゴールを目指していると、VeohのCEOであるDmitry Shapiro氏は言う。
「2つの市場が展開しつつある」とShapiro氏は言う。「ひとつはウェブビデオ共有市場であり、YouTubeが支配している。もうひとつ並行して存在するのは、われわれがインターネットTVと呼ぶ市場である。Veohでは、長編の高品質映像を提供可能にしている。ビデオ共有サイトのほとんどが提供しているのは短編である。われわれが狙っているのはケーブルTV市場だ」(Shapiro氏)
Shapiro氏は、オンラインビデオ会社の価値を算定する際には、米国のケーブルTV業界が年間650億ドルを産出していることを忘れてはならないと言う。同氏によると、YouTubeやVeohなどは、その領域を侵食しはじめているという。
「これらの企業がこの巨大市場の改革に乗り出そうとしていると本当に考えるのであれば、最近の価格はバーゲン価格ともいえる」(Shapiro氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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