これを観ていた観客の1人が「誰かこの件についてバグリポートを提出しないといけないぞ」と、やじを飛ばした。
しかし、Microsoft Robotics StudioのソフトウェアアーキテクトGeorge Chrysanthakopoulos氏はこのような声にも冷静で、Robotics Studioが開発したソフト「Robotics Simulation Visualizer」の説明などを含む、自らのデモを続けた。このソフトは実際の物理法則に基づいて構築された純粋なデジタル環境において、Legoロボットの組み立てをシミュレーションするものだ。Chrysanthakopoulos氏はバーチャル環境に作成したロボットの1つをバックさせ、大きな白いブロックに当てた。倒されたブロックは、まるでドミノのように別のブロックに倒れ込んだ。
Chrysanthakopoulos氏によると、肝心なことは、8月1日に発売されるMindstorms NXTのアップデート版にはNational Instruments製のソフトウェアが採用されることが決まっているにもかかわらず、MicrosoftがMindstorms NXTシステムに組み込み可能なロボット工学ソフトウェアを作成した点にあるという。
そして、まさにこれがLego側の狙いでもあったと、Lego Mindstormsのブランド担当ディレクター、Michael McNally氏は述べている。
サンフランシスコのWired Magazine本部で20日に行われたMindstorms NXT紹介ツアーの開始イベントで、McNally氏は次のように述べている。「われわれはごく少数の人たちに限って、開発支援をお願いした。それからは問題点の修正や、ユーザーコミュニティへの紹介に力を割いた(中略)。そして完成品ができた今、われわれは主要企業のクリエイティブな人たちにこのソフトを使ってどんなことができるか、試してもらっている」
今回、Micorsoft本社で開催されたMindstorms NXT紹介ツアーの一環となるイベントに出席した何百人もの人々がさまざまなロボットのデモを見物する中、McNally氏は新製品に関するLegoの企業哲学を説明した。
McNally氏によると、まだ初歩的な機能しか備えていなかったMindstormにハッカーたちが自らの手で改良を加え始めたのは、1998年に最初のMindstormsシステムが発売されて間もなくのことだったという。そして、自らのシステムを自由にハッカーに使ってもらおうという考えに至るまでには多少の時間がかかったものの、Legoは現在、この方針こそ唯一の道であることをよくわかっていると、McNally氏は言う。
「われわれはテクノロジー企業ではない。100%、おもちゃメーカーなのだ。だから、当社の製品をハッキングする人たちをどうするかについて、社内でどんな議論があったかを想像してみて欲しい(中略)。結局、ハッカーたちに改造行為を許し、この製品が持つ真の可能性を見せてもらおうと、われわれは決めたのだ」とMcNally氏は語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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