働く場所としては、オフィスビルの環境も気になるところだが、入居するオフィスビルに関して、両社が気にかけている点はあるのだろうか。
藤田氏は、「最初は立派な会社になることを目標に、どんどんいい場所に移転した」という。しかし、渋谷のマークシティに入居した時点で、「それより上に行くことに対し、あまりわくわくしなくなった」と明かす。逆に、「マークシティが手狭になり近隣にオフィスを増床したが、それらのビルはあまり立派なビルではない」と藤田氏。それは、同社が抱えるスタートしたばかりの事業グループにモチベーションを持たせる意味もある。「事業を大きくしてもっと立派なオフィスへ行きたいという意気込みで成長してほしい」というのが、藤田氏の願いだ。
一方、ワークスアプリケーションズは大企業の顧客が多いため、「顧客からの信頼を得る上で、オフィス選択も重要だと認識している」と牧野氏。現在同社は赤坂のアーク森ビルに入居しており、「アークヒルズは安全なイメージもある。また、以前金融機関が入居していただけあって、玄関は非常に立派で、新卒者にインパクトを与えることにも役立っている」と牧野氏は話す。
次にモデレーターの岡島氏が聞いたのは、採用時の戦略についてだ。スピーカーの両氏は共に、「採用はマーケティング活動だ」という認識において一致している。サイバーエージェントの藤田氏は、「(会社の人気度を向上させるために)犬でも飼うべきだろうかという案も出たほどだ」と話し、ワークスアプリケーションズの牧野氏は「広報活動やメディアへの露出も、採用に効果がある」という。
藤田氏は、「一次面接の時点から、面接メンバーはエリート級の社員に対応させる。面接メンバーに対しても、事前に選ばれた人たちだという意識を植え付けている」としている。それは、面接に来た応募者に「こんな立派な人たちと一緒に働きたい」と感じてもらうためだ。社長面接まで進んだ際には、藤田氏自身が志望者の履歴書をしっかり暗記し、顔と経歴を覚えた上で臨むという。
牧野氏は、インターン制度を最大限に活用し、採用に結びつけている。インターンは試験期間でもあるためだ。こうしたインターンへの投資も含め、同社では採用に関するマーケティング予算に約6億円費やしているという。
ただ、両氏共に「面接だけでは志望者の本質が見抜けず、いい人材の採用につながらないこともある」と声をそろえる。牧野氏は「特に、頭がいい人は面接で相手の望んでいる答えを見抜いてしまうため、なかなか本質が見えない」と明かす。同社でインターン制度を重視しているのもそのためだ。
藤田氏も同じく「何度面接してもわからないこともある」というが、「頭が良くてもいやな印象を受ける人はいる。そういう人は採用しない。笑顔を見ていれば何となくわかる」と話す。
こうして採用に結びついた社員に対し、役職を与えるかどうかについては、藤田氏と牧野氏に考え方の違いがある。
藤田氏は、「役職が人を作ることもある」という考えだ。それなりのポジションを与えれば、社員もそのポジションに見合うよう一生懸命に取り組む。それは、同氏が24歳で社長となり、最初はよくわからなかったものの徐々に社長業が身に付いてきたという経験もあってのことだ。
一方、ワークスアプリケーションズではこれまでフラットな組織で経営を行ってきた。それは、いったんポジションを与えると、そのポジションを下げることが困難なためだ。「例えば部長が増えてしまうと、その上のポジションが必要となった際に本部長というポジションを作るしかない。部内での役目を変更する際にもポジションは邪魔になる」と牧野氏は説明する。
ただ、牧野氏も「現在、ワークスには優秀な社員が非常に増えてきた。これ以上の人材はなかなかいないと考える。こうした優秀な社員は能力が高く、ポジションを落とすような状況にはならないと思うため、そろそろ役職をつけることを考えている」と述べた。
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