魅惑のブラック--Apple MacBook 13インチ 2.0GHz Intel Core Duo - (page 4)

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内容:Intelプロセッサの採用を発表して以来、製品ラインのIntel化を推し進めるアップル。コンシューマー向け製品のIntel化、ポータブル製品のIntel化ともにトリを努めるのはiBook改め、MacBookだ。しかもビデオ対応iPodのように、ブラックモデルが用意された。自分のポータブルマシンをリプレイスすべく購入したので、さっそくレビューをお届けする。

快適なiLife、つらいエミューレション

 Intel化されても、MacOS Xや標準で付属しているメール・ウェブブラウザなどのアプリケーション、iLifeソフトウェアなど、標準で搭載されているソフトウェアは今まで通りだ。文章を書いたり情報を整理するのに便利なアウトラインプロセッサであるOmni Outlinerも付属するようになった。これらのソフトウェアはすべてPowerPCでもIntelプロセッサでもネイティブに動作するUniversal Binaryに対応している。Safariの起動はPowerBookと比較して体感できるほど速くなっているし、たくさんのタブを開いたときに風車に悩まされることもなくなった。

 特にiLife '06は快適に動く。iTunesのエンコードやiPhotoのブラウズ、iMovie HDでのムービーの保存など、マシンパワーを使った作業に関してはこれまでのiBookよりパワフルだ。iSightカメラも内蔵されたことで、iMovie HDを使ってビデオメールを送ったり、ビデオPodcastをマメに更新するのも手軽だ。KeynoteやPagesの動作も良好。ついつい凝ったプレゼンテーションやドキュメントを作りたくなる余裕がMacBookにもたらされた。

 最近ではUniversal Binaryに対応するソフトウェアも増えてきている。プレゼンテーションに欠かせないKeynoteやPagesを含むiLife '06、映像編集のFinal Cut Pro / Expressやループ編集のSound TrackなどのAppleからリリースされているビジネス、プロ向けソフトウェアもIntelプロセッサへのネイティブ対応をすませた。僕が普段気に入って使っているテキストエディタのmiもUniversal Binaryに対応したベータをリリースしている他、ATOKの次期バージョンも2006年7月にリリースされる。かなり速いスピードで、新しい環境整備が進んでいる。

  • ディスプレイ上部、今まで開閉のためのラッチが仕込まれていたところに、新たにiSightカメラが内蔵された

 しかしビジネスソフトウェアとして必須なMicrosoft Office、デザインに用いるアドビの製品群はまだPowerPCのみのサポートであり、これらをMacBookで動かすためにはRosettaを利用することになる。たとえばMSN MessengerなどRosettaを介して動作するアプリケーションが動いていても、マシン全体のパフォーマンスに影響を及ぼすことはほとんどなかった。Microsoft Wordに関しては、パフォーマンスにさほど影響があるとは思わない。ただ、たとえばAdobeのIllustratorやPhotoshopといったソフトウェアでは、やはりPowerBook G4に比べると処理がもたつく。これもまた時間の問題で解決されるだろうが、現在の対応状況は留意しておくべきだ。

頑丈なモバイルマシン、初心者にも、セカンドマシンにも

 MacBookでは、電源アダプタやディスプレイを閉じるラッチをなくすなど、磁石を上手に使っていて、いずれもよりシンプルな機構になった(つまり物理的に壊れる心配が減った)。またキーボード部分は他のポータブルマシンとは違い、一体型フレームから1つ1つのキーを押し出す形でセットされている(他のマシンのフレームではキーボード部分に丸ごと穴をあけている)。

 まだまだ軽いとはいえないが、剛性感は高く、しっかりとしたボディに変更された。マシンの作り込みとして、少々乱暴に使いがちな学生などの初心者ユーザーやハードなモバイルユーザーに特化しているように思われる。モバイルユーザーは家に帰ってきたら、デスクトップのMacでiTunesを起動しておけば、ベッドサイドにおいたMacBookを赤外線リモコンで操って音楽を聞くことができ、家の中でもMacBookの恩恵を授かることができる。

 ご紹介してきたMacBookの登場で、MacBook Proユーザーとアップルのポータブルマシンを検討しているユーザーは、首を傾げいているかもしれない。2.0 GHz Intel Core Duo搭載モデルのMacBookとMacBook Proで比較すると、価格差は標準構成でおよそ9万円。

 まず違うのはディスプレイ周り。見ての通り13インチと15インチの差がある。ビデオチップについて、MacBookはIntel GMA950グラフィックスプロセッサとメインメモリと共有の64Mバイトビデオメモリであるのに対し、MacBook ProはATI Mobility Radeon X1600に128Mバイト GDDR3ビデオメモリを搭載。後者の方がグラフィックス処理性能が高い上、外部ディスプレイでサポートする最大解像度も高い。またMacBook ProにはExpressCard/34スロットが搭載されている。一方バッテリ駆動時間はMacBookの6時間はMacBook Proの5.5時間を上回っており、電源アダプタのサイズもモバイルに適した60Wの小型サイズだ。

 このような価格差や性能差をふまえた上で、どちらかを選ぶことになる。プロやメインマシンとして使うユーザーにはMacBook Proを、初心者やモバイル用のセカンドマシンとして使うユーザーにはこのMacBookを、というのが素直なチョイスだ。

 とはいえ、プロユースやメインマシンを選ぶときであっても、この黒いMacBookの魅惑から逃れられるかどうか、僕は自信を持てない。

  • MacBookを初めて起動する際の設定画面。ユーザー作成の画面ではiSightカメラで自画像を取り込める

  • Front Rowを使ってMacBookをデカいiPodのように操れるApple Remote。プレゼンテーションのページ送りにも利用でき、モバイルユースでも活躍

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