われわれのビジネスが成長を遂げ、中国本土にビジネスを拡大するのにあわせて、われわれは本土の事情についてさらに多くのことを学びました。(われわれは)中国本土では、Linuxが切実に求められていることを知りました。サーバだけでなく、デスクトップ用にもです。中国の朱鎔基前首相は、われわれが独自にソフトウェア業界を発展させることが重要であり、オペレーティングシステムはこの目標を実現するための基礎となる部分だと語りました。
われわれは開発に着手するにあたって、ベースにするディストリビューションはどれがいいかを調べました。候補に挙がっていたのは、RPMパッケージングシステムを採用しているRed Hatと、そしてDebianです。そして、結局Debianを使うことに決めました。
Debianに決めたのは、まずわが社の開発者のほとんどがDebianをとても気に入っていたからでした。その当時わが社には正式なDebian開発者が3人いました。そして、われわれがオープンソースを信奉していること、またDebianのほうが自由度が高く、よりコミュニティに根ざしていると考えていることも、Debianを選んだ理由でした。Debianディストリビューションを基に開発していれば、コミュニティに還元できるものもほかより多くなります。さらにDebianを選ぶビジネス上の理由もありました。RPMシステムを採用しているRed Hatは、最高の技術を提供しており、今後も常にその技術を真っ先に出してくるでしょう。ただし、革新的な技術を実装するのはDebianのほうが簡単にできます。
われわれは当初、香港で開発を行っていましたが、チームはあまり大きくありませんでした--当初、開発者は6人でした。しかし、デスクトップ用のディストリビューションの保守は非常に難しいことから、そのためには最低でも10倍の人数が必要です。複数のハードウェアに対応させなくてはなりませんし、始終新しいハードウェアが出てきますから。
現在は80人の開発者が、わが社でLinuxデスクトップの開発に取り組んでいます。
江蘇省の複数の学校で使われている15万台のパソコンにデスクトップLinuxを導入したことがあります。彼らはそれまで(Microsoftの)Windowsを使用していました。このプロジェクトは、中国でも最大のLinuxデスクトップ導入例の1つだと思いますが、中国の人口(約13億人)に比べればごくわずかなものです。
デスクトップを使うのは学生ですから、Linuxへの移行にあたって多くの問題に遭遇することはありませんでした。しかし、このプロジェクトには膨大なエネルギーが必要でした。たとえば、各種のドライバに対するサポートを得るために、さまざまなハードウェアベンダーに協力してもらう必要がありました。とはいえ、われわれが開発に取り組んだ機能は現在、先ごろ新たに投入したリリース1.5に取り込まれているため、この取り組みはやっただけの価値あるものでした。
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