音楽だけではなく、映像配信も始まる。VerizonはQualcomと共にMediaFLOサービスを準備している。今年後半に開始予定のMediaFLOは、携帯端末向けの映像配信サービスである。MediaFLOは、同時に映像を多数の利用者に配信する放送型のサービスに加えて、ポッドキャストライクなClipCastという蓄積型映像配信サービスも用意しているというが、利用できるのはスマートフォン型端末とは異なる通常端末に近い仕様になるはずだ。
加えて、各種アプリケーション/サービスをIPで統合するIMS(IPマルチメディアサブシステム)に対応した映像配信サービスも開始される予定だ。
いずれにしても、これらのリッチコンテンツ(音楽や映像)は、短編といわれる類の長さになるに違いない。というのも、音楽配信サービスもMediaFLOも、そしてIMSで提供されるサービスのいずれも、日本のiモードの成功からの学習か、「暇つぶしメディア」を目指しているからだ。
正直言って、現在の米国でのCGC短編映像などのショートコンテンツに注目が集まっているのは、米国型の「ブロードバンド」では、長時間の視聴に耐えうるリッチコンテンツをストリーミング視聴したり、ダウンロードしたりするのが依然として困難という環境要因が大きい。
加えて、オンライン上で無料で流通するプロフェッショナルコンテンツは、音楽を除き、それ自体が商品として流通されておらず、プロモーションとして位置づけられたものばかりだ。そのため、わざわざ眺めようと思わないものも多い。
また、数年前から「サバイバー」などに代表される「リアリティショウ(素人が登場するテレビ番組)」ブームに見られるように、視聴者がすばらしい品質を持ったプロフェッショナルコンテンツ以外のものにも目を向けるようになっていったということも背景にあるかもしれない。
とはいえ、素人作品といえどもは侮れない品質のものも多いという発見もあったろう。市井のクリエータたちの中には、なかなかの腕前を持つ人もいるからだ。あるいは、ショートフィルムを大学の卒業制作やコースのレポートとしてとして作ったものを「せっかくだから」といって公開したケースも数多い。また、俳優の別所哲也さんらが開催しているショートショート フィルムフェスティバルのような「ひのき舞台」も米国には数多くある。
結果、映画祭だけではなく、ネットでショートコンテンツがが見初められてメジャーデビューへとつながるシンデレラ・ストーリーも出てきている。
そんなシンデレラストーリーの日本版を目指し、アニメ領域で新しい才能を見つける「動画革命東京」を株式会社シンクは開始した。今後、制作支援対象が決定した作品やその制作状況を随時サイト上で公開していく予定だ。
今後、ブロードバンドがより広帯域になっても、携帯電話で映像がサクサク見られるようになっても、多種多様な表現やストーリーが埋蔵されているショートコンテンツの人気はしばらく衰えないに違いない。
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