昨年11月に東証マザーズ市場に上場した、検索エンジンマーケティング(SEM)を専業とするアウンコンサルティング。検索連動型広告(Pay for Performance:P4P)を中心にSEM事業を拡大していくという同社の今後とSEM市場について、代表取締役の信太明氏に話を伺った。
2007年末までと2008年以降とではちょっと考え方が違います。2007年まではP4Pマーケットは非常に伸びますので、それまではその周辺にある何かしらのサービスの売り上げ、利益を上げるという考え方が強いです。2008年以降については、P4Pの市場成長速度は鈍化する――成長はするのですが鈍化すると考えているので、そこに依存しすぎない第二、第三の柱を作るというのが基本的な考え方です。
何の事業もそうだと思いますが、必ずライフサイクルがあるので、まずそれが前提としてあります。あと、P4Pの流れはやはり米国から来るので、米国では現在インターネット広告におけるP4Pの市場規模はだいたい40%から50%ぐらいになっていて、もう相当数増えてきています。日本だとまだ25%ぐらいですが、2007年ぐらいには米国と同じ領域に達するのでだんだん成長率は鈍化すると考えています。
私どもはそう考えています。
だいたい1年半から2年後ぐらいに来ると考えています。米国ではインターネット広告市場の中でP4Pが占める割合がもう半分近くまで来ているので、インターネット広告の全部をP4Pが占めるわけにもいかないですし、バナーとかメール、クラシファイド型の広告はもちろん残るわけなので、P4Pの割合が40%、50%というのは適正な水準なのでしょうね。
あとはインターネット広告自体がどこまで伸びるかではないでしょうか。米国ですと、今、インターネット広告市場は1兆円ぐらいありますが、広告市場全体が15兆円と考えるとだいたい7%ぐらいです。日本だと電通の発表によれば、2005年のインターネット広告費は2808億円だとされているので、広告市場全体が5兆8000億とか6兆円だとすると、だいたい4%弱ぐらいになります。そうすると日本としては、インターネット広告の全広告に占めるシェアとしては倍ぐらいのポテンシャルはあると感じています。
そう考えています。というのは、P4Pという事業自体は、商品自体はオーバーチュアとアドワーズがメインになりますが、非常に伸びていて良いには良いのですが、われわれから見ると売り上げ的に良いというだけで、利益が出るようなモデルではないのです。結局、広告代理店としては15%の手数料しか残らない。あるいは一般のインターネットの広告代理業はだいたい値引きして販売するので手元に10%ぐらいしか残らないのです。
これはあまり良いモデルではないので、われわれはこの事業をやる前から、代理業という位置付けではなくて、それ以外の付随サービスをやっていこうということで、例えば運用管理を当社でさせていただくとか、SEOとセットで販売するとか、ほかにもいろいろな当社オリジナルのサービスとセットで販売することで利益を出していこうという基本的な考え方があります。だから他の広告代理店とは少し立ち位置が違うのかもしれません。
普通の代理業だと、オーバーチュア、アドワーズを85%の価格で仕入れて、100%の価格で販売したり、95%の価格ぐらいで販売するのですが、これだけだと利益が出ないので、当社としては85%で仕入れて110%とか120%の価格で販売するので、粗利益的にはだいたい倍ぐらいになります。
運用管理ではどのようなことをするかというと、通常のやり方だと1カ月あたりの広告に使うキーワードは、お客様1社あたり平均150個ぐらいで設定しています。ただ、それぐらいのキーワードだと、クリック単価が高騰しやすくなるのです。数が少ないので誰もが知っているようなポピュラーなキーワードになってしまうからです。
当社の場合はとにかく最低限そのキーワードを増やしましょうということで、当社の平均は150個ではなくて1500個ぐらいになっています。こうして10倍ぐらいに増やすことによって、クリック単価はだいたい10分の1とか20分の1ぐらいに下がっていきます。
あるいは、広告の文章も、無駄なクリックを抑制するために、きちんとセグメントして細分化した文章を考えたり、あるいは時間帯によっても昼に出したほうがいいとか夜に出したほうがいいといったことがありますので、時間帯別に広告を配信するようなことをやったりしています。
開発はしていませんが、今はデジタルフォレストさんと一緒にやっています。
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