政治に対するGoogleの本当のアプローチというのは、どのような形になるのが理想的なのだろうか。少なくとも、スーツを着て、1時間あたり500ドルも請求するような、あるいは相も変わらぬ排他的な選挙資金調達の仕組みに従うようなことは、決して理想的とはいえないだろう。一部のコネのある企業や利益団体、財力のある献金者だけが受け入れられ、その他の一般市民は蚊帳の外に置かれるようなやり方はGoogleらしくない。
ネットの中立性の議論を例に考えてみよう。重役に共和党員(民主党が政権をとった場合は民主党員)への寄付を増やすことを強要するワシントンの政治コンサルタントに従うのではなく、この問題を一般市民の手に委ねるようGoogleが働きかけるというのはどうだろうか。ワシントンにオフィスを構えるのではなく、ウェブ上で仮想選挙運動センターを立ち上げたらどうだろうか。
一般市民の注意をひき、彼らに参加してもらうことで、ネットの中立性をめぐる議論を米国の民主主義はどうあるべきなのかという議論にまで発展させていくことができる。米国市民は、消費者の味方だと称する大企業が衝突するような茶番など必要としない。われわれは企業に代弁者になってもらうことなど望んでない。一般市民を蚊帳の外に置いた企業の内部戦略としてネット中立性が実現したとしても、次の年にはまた同じ論争が繰り広げられるだろう。
政治そのもの、新しい選挙運動の方法(カリフォルニア州議会で可決されたClean Elections法などはその例)、さらには重要な政治問題をめぐる人々と政治家の関わり方について、市民中心型の新しい仕組みを考える時がきている。CivicSpaceやコロラド州のProgressNow、DailyKosなどの政治ブログサイト、オンラインでの選挙資金調達など、政治に対するオープンソース的アプローチはすでにあちこちで始まっている。Googleは旧態依然としたKストリートなどに金を落とすのではなく、こうした革新的な動きや変化を育て、開拓し、加速させるほうに力を貸してはどうか。
Googleは2年ほど前、革新的なオークション形式のIPOを行ったが、その際に同社の創業者Larry PageとSergey Brinは「Googleは従来型の企業ではない。そうした企業になるつもりもない」と述べていた。
さて、政治との関わり方についてはどうするのか。今までのやり方に固執するのか、それともまったく新しい手法を取り入れるのか。今後のGoogleの動きが注目される。
筆者略歴
David Donnelly
政治資金関連の活動を行う非営利組織「Public Campaign Action Fund」のナショナルキャンペーンディレクター。
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