新年度入りで大台回復を狙う日立

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 日立製作所の株価が、それまでの800円を挟んだもみあいボック圏を上放れて3月末から急ピッチでの上昇を見せはじめ、先週末の4月7日には888円の高値をつけてきた。市場関係者の間では「新たに就任した古川一夫社長が4月3日に会見し、経営方針を明らかにしたことが株価上昇のきっかけとなったのでは」との見方も浮上している。果たして株価1000円回復はあるのか。

 古川新社長は3日会見し、創業100周年に当たる2010年に向けて創業当時の「和」、「誠」、「開拓者精神」を重視し、今後の飛躍に向けて「イノベーション」、「グローバル」、「シナジー」をキーワードとして展開し、早い時期に売上高営業利益率5%を目指すことを明らかにした。

 社長就任1年目に当たる2007年3月期の具体策としては、懸案となってきたHDD、液晶パネル、薄型テレビの赤字3事業を下期には確実に黒字化することを明らかにした。これら3事業は、需要増加に伴うデジタルメディア関連の製品および部品の価格下落に原材料価格の高騰が重なるという市場環境の変化に対応できず、業績回復の足かせとなっていた。2006年3月期の連結決算では、この3事業の赤字がマイナス要因になり、営業利益は2400億円(前々比14%減)となる見通しだ。

 したがって、この4月からスタートした2007年3月期については、この赤字3事業の黒字化が緊急の課題となっている。具体的には、HDDでは外部メーカーとの協業や品質向上による歩留まりの改善に取り組み、中国で生産もスタートする。液晶パネルでは、富士通のとの合弁会社の富士通日立プラズマディスプレイを子会社化したうえで、生産増強のため約850億円の設備投資を実施し液晶生産の新ライン構築をはじめている。今2007年3月期の下期ではてこ入れ効果がどこまで表れるかが鍵となる。HDDは高密度の垂直磁気記録方式の開発を2006年の夏にスタートする方針だ。また、液晶の新ラインは10月に完成する見通しだ。これにより、現状の月産10万台レベルが同20万台にまで引き上げられ、さらに2007年夏には、同30万台体制に拡大する見通しだ。

 さらに、従来から大きな経営目標としていた5%の売上高営業利益率達成については「ひとつひとつの事業をきちんと黒字化させることで実現したい」(古川社長)とし、生活基盤の社会インフラに情報基盤事業を掛け合わせ、シナジー効果を生み出し高い付加価値を創造し「真の総合力」を発揮する事業体にしていきたいとしている。

 日立の株価がここにきてこれまでのボックス圏を上放れて上昇軌道を描きはじめたことについて、電機担当のアナリストは「新社長の会見には目立って斬新なところは見当たらなかったものの、着実な業績向上への意気込みがうかがえた。前年度末に値を飛ばした銀行、不動産、小売などの内需系銘柄に替わって日立のような主力ハイテク銘柄がじり高歩調をたどる期待感が高まっている。株価の1000円台乗せもそう遠くない時期に訪れそうだ」としている。

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