ビル・ゲイツ氏に聞く「Windows開発とビジネス市場の可能性」 - (page 2)

文:Ina Fried 翻訳校正:坂和敏(編集部)2006年04月10日 10時28分

Gates:セキュリティの問題から、近頃は最新技術を導入することが、かつてないほど重要になっています。当社にとっては、これはユーザーの環境と移行の難易度を簡単に分析できるようにする必要があることを意味しています。移行を容易にするために、われわれはさまざまな取り組みを進めています。分析を自動化できれば、企業は社内システムのうち、どの部分はMicrosoftがすでにテストを行っていて、どの部分は自社に固有のものかを簡単に見極め、自社に固有のものに対して、必要な措置を講じることができるようになるでしょう。

--WindowsをOfficeと同じような方法--つまり、技術革新のレベルを問わずに、定期的にアップデートすることに意味はあるのでしょうか。Windowsの新バージョンを18カ月ごとに出す必要はあるのですか。

Gates:ブラウザのユーザーインターフェースやメディア関連の機能などは、18カ月よりも短い間隔でアップデートすることができます。互換性の問題がないので、ユーザーは随時、これらのファイルをダウンロードすることができます。一方、ファイルシステム、スケジューラー、著作権関連の機能、デバイスドライバのインターフェースなどは、少なくとも3年は変更されません。もっと長い間、いじらないというユーザーも多いでしょう。

 たとえば、デバイスドライバのインターフェースに新しいAPIを追加するとしても、10年前に書かれたドライバの大半は、動かせるようにしなければなりません。ここで重要になるのがレイヤリングです。ブラウザなど、一部のものについては、一般ユーザーは企業よりも頻繁にアップグレードを行う可能性がありますが、はっきりとしたことはいえません。一般ユーザーに関して、ひとつ明らかなのは、Auto Update機能が確実に利用されているということです。アップデートに関する限り、当社はユーザーの「IT部門」の役割を果たすことができています。企業の場合、話はもっと複雑ですが、それでもこの4年間で、SMS(Systems Management Server)の導入や利用、理解は大幅に進みました。アップデートの入手と適用のタイミングに関しては、目覚ましい進歩があったと思います。しかしこれは、一般ユーザーがAuto Update機能を利用するほど、単純なことではありません。

--ビジネスソフトウェアとMBSグループについてお伺いします。MicrosoftがGreat Plains Softwareを買収してから、約5年が過ぎました。その間に、ビジネスソフトウェア市場はどう変わったと思いますか。

Gates:5年前、当社は大きなビジネスチャンスと、いくつかのソフトウェアを改善する機会に恵まれました。アーキテクチャとビジネスに関する当時の判断には満足しています。この判断に基づいて、われわれは買収先企業のソフトウェアを集め、大規模なアプリケーション事業を立ち上げました。今後、さらに弾みがつけば--つまり、多様なアドオンが登場し、研究開発への投資が増え、これらのソフトウェアを効果的に利用できるようになれば--この事業は大きく成長する見込みがあります。事実、当社の事業を見渡しても、MBSほど成長の余地が大きく、勢いのある事業はほとんどありません。コンシューマー市場には、参入から日が浅いために、今後劇的な成長が期待できる製品もありますが、すでにかなりの規模に達している事業に限れば、MBSの勢いは抜きんでています。昨年の成長率は約17%でした。この数字には大いに満足しています。

--当初の目標はビジネスソフトウェアのコードベースを一本化することでした。この目標に変わりはありませんか。ソフトウェアのどの部分は共有すべきで、どの部分はそうでないのでしょうか。

Gates:前回のConvergenceでは、コードベースの統一に向けたロードマップを発表しました。その際に最も重視したのは、共有するコードの量ではなく、ユーザーインターフェースの維持です。互換性を維持することの重要性をふまえ、Web Service APIも公開しました。この業界では、アドオンを利用する開発者のトレーニング、アドオン関連の実作業、および新しいユーザーインターフェースとビジネスプロセスの学習が大きなコスト要因となっています。これらのものが変わらないことを、ロードマップによって示すことは重要です。企業が行う投資は、われわれが書き換えるコードよりも、はるかに大きいからです。

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