Linuxで通話する時代を切り開く--OSDLが「Mobile Linux Initiative」を立ち上げ - (page 2)

Stephen Shankland(CNET News.com)2005年10月17日 11時01分

技術的な目標

 今日のLinuxは、主に処理能力の高いプロセッサと大容量メモリを搭載したハイエンド携帯電話端末に適している。OSDLのオープンソースアーキテクチャスペシャリストBill Weinbergによれば、非力なデバイスでもLinuxをより広く利用できるようにすることが、同団体の開発作業の一環であるという。

 Weinbergはまた、「経済的かつ技術的な問題のせいで、Linuxは総合的な携帯電話市場でマーケットシェアを確保できずにいる」と指摘した。経済的な問題としては、ローエンド携帯電話端末に組み込まれた低コストなコンポーネントであるLinuxを利用する際のサポートが挙げられている。

 Mobile Linux Initiativeの目的の1つに、Linuxの中核である「メインライン」カーネルソフトウェアの機能強化がある。このカーネルは、Linuxの生みの親であるLinus Torvaldsやその仲間が維持しているものだ。Torvaldsらは、携帯電話やロボットコントローラ、銀行ATMといった「組み込み式」コンピューティングデバイス向けの機能よりも、Linux本体の性能を向上させることに取り組んできた。

 「携帯電話端末の製造企業は、メインラインカーネルの不足を補うことを心配せずに済ませたいと願っている」(Cohen)

 OSDLはTorvaldsを雇用しているが、同氏の活動は、オレゴン州ビーバートンに拠点を置く同団体が進めるさまざまなプロジェクトからは独立している。Torvaldsは1年ほど前、メインラインカーネルに一部の組み込み向け機能を追加することに対して懐疑の念を表した。

 だがWeinbergは、Mobile Linux Initiativeでは、包括的な電力管理処理メカニズムを構築するなどして、メインラインカーネルにある種の機能を加えることが可能になると考えている。

 携帯電話のバッテリーを長持ちさせるには、アイドル状態の際にプロセッサを低速に保つことが重要だ。こうした電力管理法は今日、モバイルコンピュータのバッテリー電力を節約したり、サーバの消費電力および廃熱を抑制したりするのにも利用されている。ところが、各プロセッサメーカーがそれぞれ異なるインターフェースを使用していることで、電力管理が困難になっていると、Weinbergは話している。

 「こういったハードウェアの多様化という問題は、主要なカーネルと連携する技術を用いて解決していく必要がある」(Weinberg)

 OSDLはこのほかにも、無線通信タスクを処理する携帯電話の「ベースバンド」プロセッサに関連する問題にも取り組む。今日、優先順位の高い割り込み処理に対する応答性に優れた「リアルタイム」OSは、ベースバンドプロセッサ上で稼働する。OSDLでは、Linuxもベースバンドプロセッサ上で実行されるようにしたいと考えている。Linuxは、レスポンスタイム800マイクロ秒を実現しているが、これは、節電のための処理速度をゆるめたり、たくさんのタスクを同時に実行したりするチップ以外において、という条件付きである。

 ベースバンドプロセッサ用ソフトウェアをサポートするようになれば、携帯電話用Linuxも普及するだろうと、Weinbergは述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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