クレジット事業はおサイフケータイ普及の切り札--NTTドコモ

永井美智子(編集部)2005年07月14日 21時40分
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 携帯電話端末に非接触ICチップを搭載し、料金の支払いや会員証の代わりに使える「おサイフケータイ」サービスをNTTドコモが2004年7月に開始してから、1年が経過した。4月には三井住友グループと提携し、おサイフケータイを使ったクレジット決済サービスに参入することも表明している。

 おサイフケータイの現状や同社がクレジット事業に乗り出す狙いはどこにあるのか。NTTドコモマルチメディアサービス部アライアンス推進担当部長の平野敦士氏が「WIRELESS JAPAN 2005」の講演で明らかにした。

 同社がクレジット事業に参入したのは、通信料以外の収益源を確保するのが目的だとされている。しかし平野氏は、このほかにおサイフケータイが利用できる場所を広げる狙いがあったと明かす。現在、おサイフケータイを利用できる店舗は数万店に限られているが、「クレジット決済なら多くの店舗のレジで使える。ここにモバイルFeliCaを対応させればいいとかなり前から考えていた」(平野氏)というのだ。

「おサイフケータイを使ったクレジット決済の普及には、日常的におサイフケータイを使うというライフスタイルの変化が前提にある」と話す平野氏

 パートナーに三井住友グループを選んだのは、「おサイフケータイ対応のリーダー・ライターを各店舗に置ける力があり、企業としてのやる気や人材、資金力があるため」(平野氏)という。

 ドコモがまず狙うのは小額決済の市場だ。同社の調査によれば、3000円以下の小額決済の市場規模は約27兆円。これは25兆円規模といわれるクレジット決済市場とほぼ同じ大きさだ。小額決済が行われるのは主にコンビニエンスストアやスーパーなど日常的に利用される店舗が多く、「いつも持ち歩く携帯電話の強みが生かせる」と平野氏は分析する。

 小額決済市場はクレジット事業者にとっても手つかずの市場であることから、ドコモは三井住友グループとともに市場開拓を図る。「正直にいって当初はあまり儲からないかもしれないが、まずは新しいクレジットブランドを立ち上げたい」と意欲を見せた。

 電子マネーと異なり、使った分だけを後から支払うポストペイド方式を採用する。月々の通信料と一緒に料金回収をすることも検討しているという。「クレジット決済による収益だけでなく、おサイフケータイの利用拡大も期待している」(平野氏)

おサイフケータイは「マーケティングツール」

 平野氏はおサイフケータイの現状についても紹介した。おサイフケータイ対応端末の契約台数は7月4日時点で約455万台となり、同社の全契約者数の10%近くを占めている。さらにKDDIがおサイフケータイという名称で9月からサービスを始めること、ボーダフォンも秋にモバイルFeliCaを搭載した端末を発売することから、「iモードに次ぐ社会インフラが誕生しつつある」と平野氏は自信を見せる。

 おサイフケータイのメリットは、企業がマーケティングツールとして活用できる点にあるという。利用者がおサイフケータイのアプリケーションをインストールする際に登録した会員情報を利用すれば、購買動向を把握したり、購入履歴に応じたクーポンをメールで配信したりすることが可能になる。「オンラインショップと同じようなマーケティング活動が実店舗でもできるようになる」(平野氏)

 現在すでにおサイフケータイに対応しているサービスとしては、自動販売機でおサイフケータイが利用できるコカコーラのCmodeや、ビットワレットが提供する電子マネーのEdyなどがある。Cmodeの場合、優良な場所に置かれているといった理由もあり、対応自販機の1台あたりの売上高は通常の自販機の2倍という。

 また、Edyを導入しているコンビニエンスストアのam/pmでは、電子マネーを使うユーザーのうち約20%がおサイフケータイを利用している。おサイフケータイ利用者の平均単価は現金利用者に比べて19%高いという。

 ユーザーの反応も上々のようだ。利用前は「セキュリティが不安」「紛失・盗難が不安」といったイメージが強いが、実際に利用してみると不安を感じるユーザーは減り、「便利だ」「かっこいい」といったイメージに変わるという。さらに現在おサイフケータイを使っているユーザーのうち、今後も利用したいという意向を持つユーザーは93%にのぼる。「おサイフケータイは実際に使うとかなり印象が変わる。まずは使ってみて欲しい」と平野氏は呼びかけた。

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